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働く人のゴカイ インタビュー

長女が大学卒業後、昨年4月から障がい者施設に勤務 ご自身も介護福祉士として活躍中 對木 美樹さん 医療法人 士正会/グラード栄東 住宅型有料老人ホーム 介護福祉士

取材:2017年1月18日

進学先も就職先も相談無く娘自身が決定

 娘は大学進学の際は保育士の資格が取れる大学に入りたいとは言っていましたが、進学先を決めたのは娘自身。就職先を決めるときも特別相談はありませんでした。学生時代に実習でお世話になった法人にそのまま就職し、まだ1年目です。
 自分と同じ福祉の道を選んだことには、正直驚きました。私は介護の仕事に就いてからというもの、家に帰るとドロのように疲れて家事もままならない生活でした。それなのに、どうしてだろうとは思ったのですが、ちゃんと見ていてくれたのだとしたら嬉しいです。
 家では介護や福祉の業界について話すことはほとんどありません。ただ、母親に仕事での辛かったことや愚痴をこぼすという感じの母娘の会話はあります。娘は新人なので周りの方が気を遣ってくださっているはず。仕事に関しても先輩たちがフォローしてくださっていると思うので、まだ大きな悩みは無いと思います。話を聞いていると周りの方がまめに世話をしてくださっている様子が伝わってきます。今後、一人でやっていかなくてはならない部分が多くなってきますので、そうなると相談が増えてくるかもしれません。そのときは先輩として、母としてアドバイスできればいいなと思っています。

好きな道で就職でき、親として安心しています

 体力的に楽な仕事ではありませんので、最初は心配した部分もありましたが、話を聞いてみると夜勤中も仮眠時間が多く、施設では娘の体のことを気遣ってくれているようなので安心しました。就職できて毎日、お勤めに行ってくれることが何よりだと思っています。
 娘も今後、結婚、出産とライフステージが変わっていくでしょう。しかし本人の希望で育休を取った後に復帰することも、子育てが一段落してから復職することも可能ですし選択肢が広い職種であると思います。

對木 美樹さん

 仕事と家庭を両立するには、どんな職業でも家族の協力が必要です。私も家事はほとんど手を抜いて、たまに一生懸命やっているくらいです。コミュニケーションを取って理解してもらっているというよりは、80%は家族が我慢してくれているのかなとは思います。家のことを完璧にやり、仕事をフルで勤めて夜勤もあり、というのは若ければできますが、年齢が上がると難しくなります。そういった場合に本人の希望で勤務形態や仕事内容を考えた働き方ができるのが、資格を取って介護業界で働くことのメリットなのかなと思います。

子どもの挑戦を応援。駄目なら支えてあげたい

 お子さんが介護の道に進むことを応援する親御さんもいれば、反対する親御さんもいるというのは分かります。どちらも親心なのではないでしょうか。私の個人的な考えですが、お子さんがやってみたいと言うなら、やらせてみてもいいんじゃないかと思います。やってみて、やはり自分には無理だと落ち込んだときに親として支えてあげたいです。しかしそれは介護、福祉の仕事だけではなくどの仕事でも同じだと思います。

對木 美樹さん

 私自身が介護の仕事に飛び込んで5年ですが、ここまで続けてこられたのは、大きなことはできないけれども、目の前の人の役には立っているということ日々実感できるからです。辞めたくなったときも、私が行かないとあの利用者さんが困ってしまうと思えることが仕事を続ける原動力でした。疲れたり、何回も同じことを聞かれたりしたときも、この利用者さんは私が優しく答えてあげることで安心して落ち着かれるんだと思うと頑張れる、私は役に立っていると思うことで気持ちをリセットできる、その繰り返しですね。優しい気持ちと知識を持った介護職員が身近にいれば、障害を持った人も高齢者も幸せに暮らせるのではないかと思っています。
 娘はたまに嬉しかった出来事を話してくれるくらいで、まだ壁にはぶち当たっていないようですが、つまずいてしまったときはしっかりとしたアドバイスができるよう、勉強しておきたいと思っています。
 お子さんが介護業界を目指すことを不安に思っていらっしゃる親御さんには、反対もあるかもしれませんが、若いうちに一度経験しておいて損はない仕事でもあると思います。一生続けなくてもいいですし、ずっと続けなければならないと思うと自分自身も辛いものです。しかし介護の現場には70歳近い方で働いていらっしゃる方もいます。介護、福祉業界はずっと続けられる仕事で、若い方にも勉強になる。自分にはこの仕事は無理だと気付くことも貴重な経験だと思います。

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