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働く人のゴカイ インタビュー

息子さんが介護福祉士を目指し勉強中!ご自身も営業職から介護職へ転身した経歴を持つ 中野 高史さん 社会福祉法人 高久会/ケアハウス陽だまりの里 軽費老人ホーム 介護福祉士、介護支援専門員(ケアマネジャー)

取材:2016年12月28日

経験を踏まえ、大学進学を助言

 息子から介護の道に進みたいと聞いたときは、本人がやりたいことをやるのが一番だろうと思いました。確かに介護の現場は見た目の困難さはありますが、他の仕事でもそれは同じです。心の中では息子が自分と同じ道で跡を継いでくれるというか、自分の姿を見て本人が目指してくれたとしたらうれしいという思いもありました。
 私は元々建材メーカーの営業職で大学も経済学部卒業です。バブル崩壊で給料が半減し転勤の話も出て、福祉の世界に飛び込みました。ある程度の年齢から未経験で始めた苦労を考えると、学生時代にしっかりと基礎を固めて専門知識を持った上でこの業界に入った方が活躍する場も広がるだろうと思い、息子には大学進学を勧めました。
 普段、家では福祉のことを話す機会はめったにありませんが、先日、介護のことで質問され、うれしくて一気にまくしたててしまいました。話したい欲求はあったのですが、ある程度知識があって初めて話ができる。やっと話が合う味方ができたような気持ちです。今後も分かる限り応えるつもりですが、介護の現場の技術は日進月歩です。それは学校で学んでもらい、基本的なこと、基軸にあるようなことは話したい。今後実習に出るようになると話したいことも増えると思います。介護の現場は基本通りやっていくのではなく、いかに応用して利用者さんがやりたいことの達成を手伝う仕事。応用には経験が必要なので、そこは失敗しながらやっていくしかないという話はしようと思っています。

人の役に立つ仕事であり給料もスキルとともにアップ

 介護業界は親世代からのイメージがあまり良くないと聞きますが、それは短絡的な見方だと思います。スキルアップし、ケアマネジャーや社会福祉士に進むことによって給料のボトムアップが自分の力で可能になります。一般企業では一部の業界のようにロケット弾のようにドーンと稼いでも一歩間違えれば大爆発という場合があります。介護業界は一気には上がりませんが一歩いっぽ上がっていきます。

中野 高史さん

 2040年くらいになると団塊ジュニアが後期高齢者になり、以降は高齢者の数が減っていきます。施設の需要と供給のバランスが逆転したとき、施設が残るためには中身しかありません。スキルがある職員がそろっていて確実な介護ケア、相談ができる施設であることが必要です。その中で、残っていける介護職員は福祉の人材であるべきで、すなわち地域の介護全体を見られる人材だと考えています。介護の専門家だけでは地域福祉は成り立ちません。お医者さん、看護師さん、ヘルパーさん、施設関係者のほかにも権利擁護関係の方、社会労務士さん、弁護士さんらが絡んできます。普段からネットワークを構築していなければなりません。その基軸になる立場に今後は介護福祉士、ケアマネがなっていくべきだと思っています。地域のために役に立つ仕事であることが認知されていけば、親御さんたちも介護業界の先行きに不安を抱くこともなくなるのではないでしょうか。

福祉の道を選んだ息子を見守り、応援したい

 私自身は働きながら3年で介護福祉士の資格、5年経ってケアマネジャーの資格を取りました。介護福祉士になって悔いはないですし、良かったと思っています。介護の世界で働きたいという子どもたちの将来を不安に思っている親御さんには、まず本人がやりたいことをやらせてあげてほしい。介護は誰でもできる仕事だとおっしゃる方がいますが、それは違うと思います。

中野 高史さん

 例えば有名な千葉のテーマパークの清掃担当の方、プロフェッショナルとして有名ですよね。介護の世界もエキスパートで知識があり、誰もが安心できる介護職員さんがいればその人は地域の宝です。膝を交えて話をしてみて、介護だから駄目、ではなく地域の社会福祉を担う職業だということを知っていただきたい。決しておむつを換えるだけが仕事ではありません。
 ただ介護職の向き不向きはあると思います。息子はおじいちゃん、おばあちゃんに好かれるキャラクターでそれは本人も自覚しています。お年寄りの話をしょっちゅう聞いていたので、おじいちゃん、おばあちゃん世代の話が感覚的に分かるのだと思います。向いているかどうかは体験してみて判断してほしい。壁にぶち当たっても自分が選んだ道であれば打ち勝つことができ、一生の仕事としてやり遂げることができると思います。仕事に邁進できるし努力もできる。嫌なこともいっぱいありますが、それを乗り越えるとき、自分で決めていないと心が折れてしまいます。折れそうなときは応援してあげるのが親の仕事なんじゃないでしょうか。

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