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愛知県の原爆被爆者対策
昭和20年8月、広島・長崎に投下された原子爆弾に被爆された方々の高齢化が進み、また、医療制度改革や介護保険制度の改正といった社会情勢の変化の中で、被爆者の方々のための保健・福祉・医療の総合的な援護対策がますます重要となっております。 「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律」に基づき、健康診断による健康管理や医療の給付、健康の回復のための各種手当の支給などの事業を行っています。
1 被爆者健康手帳等
(1) 被爆者健康手帳の交付
次のいずれかに該当する方が、申請により被爆者と認定された場合には被爆者健康手帳が交付されます。
・原子爆弾投下時、当時の広島市若しくは長崎市及び政令で定めるこれらに隣接する区域内にいた方と、その当時その方の胎児であった方
・原子爆弾投下後、2週間以内に救護活動や親族探し等のために、政令で定める区域内に立ち入った方と、その当時その方の胎児であった方
・その他、死体処理や救護に従事し、身体に原子爆弾の影響を受けるような事情にあった方と、その当時その方の胎児であった方
・広島の「黒い雨」に遭われた方(令和4年4月1日より適用)
※ 広島の「黒い雨」に遭われた方が、被爆者健康手帳の交付を受けるための要件や申請方法については、リーフレット [PDFファイル/1.05MB]をご参照ください。申請希望の方は、原爆・アレルギー対策グループまでお電話ください。
(2) 第一種健康診断受診者証の交付
(3) 第二種健康診断受診者証の交付
(4) 被爆体験者精神医療受給者証[長崎市が交付します]
2 被爆者健康診断
次のいずれかに該当する方に対して、県と委託契約を締結している医療機関で、年2回の定期健康診断と、希望による健康診断(年2回まで。うち1回はがん検診が受けられます。)を実施(無料)しています。
・被爆者健康手帳をお持ちの方
・第一種健康診断受診者証をお持ちの方
なお、第二種健康診断受診者証をお持ちの方は、希望による健康診断(がん検診を除く。)を年1回無料で受けることができます。
3 各種手当等の支給
手当の種類 | 支給を受ける方 |
医療特別手当 | 負傷又は疾病が原爆の障害作用に起因するとの厚生労働大臣の認定を受けた方(認定被爆者)で、現在もその負傷又は疾病の状態にある方 |
特別手当 | 医療特別手当を受給された認定被爆者で、現在はその負傷又は疾病の状態にない方 |
原爆症小頭手当 | 原子爆弾の放射能の影響による小頭症の患者 |
健康管理手当 | 厚生労働省令で定める脳血管障害等11の障害のいずれかを伴う病気にかかっている方 |
保健手当 | 原子爆弾投下時に爆心地から2km以内で直接被爆した方又はその胎児であった方 |
介護手当 |
・厚生労働省令に定める障害のために介護を要する状態にあり、費用を支出して介護を受けている方 ・厚生労働省令に定める障害のために介護を要する状態にあり、費用を支出しないで介護を受けている重度の障害者の方 |
葬祭料 | 被爆者が死亡した場合に、葬祭を行った方 |
4 医療の給付
被爆者健康手帳をお持ちの方が医療機関にかかった場合には、各種健康保険の自己負担分について負担されます。
県知事が指定した医療機関等で、被爆者健康手帳と保険証を提示すれば、原則として自己負担なしで治療が受けられます。
なお、緊急な事態などで、県知事が指定しない医療機関で受診した場合や、手帳を提示せずに受診した場合には、自己負担分を自分で支払うこととなりますが、後日申請すれば、払い戻しを受けることができます。
5 被爆者一般疾病医療機関の指定申請について(医療機関の開設者の方へ)
被爆者の医療を行う医療機関等は、知事の「被爆者一般疾病医療機関」の指定を受ける必要があります。この知事の指定を希望される方は、被爆者一般疾病医療機関指定申請書をダウンロードして必要事項を記入の上お申し込みいただくか、又は電子申請・届出システムによりお申し込み下さい。
なお、被爆者一般疾病医療機関における被爆者医療の取扱いについては、以下のとおりです。
(1)健康保険法等との負担割合
加入している保険等の種類 |
〔負担割合〕保険者 |
〔負担割合〕原爆医療(国) |
〔負担割合〕被爆者本人 |
健康保険、共済組合、国民健康保険等 | 7割 | 3割 | なし |
高齢受給者証を所持している人(※1) | 8割(7割) | 2割(3割) | なし |
後期高齢者医療制度の適用を受ける人(※2) | 9割(7割) | 1割(3割) | なし |
〔健康保険に加入していない人〕生活保護受給者 | なし | 10割 | なし |
〔健康保険に加入していない人〕国保に加入できない人 | なし | 10割 | なし |
〔健康保険に加入していない人〕国保に加入していない人 | なし | 3割 | 7割 |
※1 現役並みの所得のある人は、3割負担になります。なお、一部負担金等の特例措置については、原爆医療(法別番号19)が優先しますので、1割負担の方は保険8割、公費2割となります。
※2 現役並みの所得のある人は、3割負担になります。
* 入院時に係る食事療養費については、標準負担額分を国が支払います。
医療給付の範囲は、健康保険法で定められた内容に限られます。
また、次にあげる負傷又は疾病については、医療の給付ができないことになっています。
1 厚生労働大臣の認定を受けた疾病又は負傷(認定医療、法別番号18)(注)
2 遺伝性及び先天性疾病
3 被爆以前にかかった精神病
4 う歯のうち、第1度うしょく(C1)及び第2度うしょく(C2)
(注)1の認定医療については、知事指定の一般疾病医療機関とは異なり、厚生労働大臣が指定した医療機関(指定医療機関)が、厚生労働大臣の認定を受けた疾病につき、全額国費で行うものです。この給付を受けるには、被爆者が厚生労働大臣あてに申請を行い、認定を受けている必要があります。
医療系サービス (介護保険法) |
〔負担割合〕保険者 | 〔負担割合〕原爆医療(国) | 〔負担割合〕被爆者本人 |
〔居宅〕 ・訪問看護 ・訪問リハビリテーション ・居宅療養管理指導 ・通所リハビリテーション ・短期入所療養介護 |
9割~7割 | 1割~3割 | なし |
〔介護予防〕 ・介護予防訪問看護 ・介護予防訪問リハビリテーション ・介護予防居宅療養管理指導 ・介護予防通所リハビリテーション ・介護予防短期入所療養介護 |
9割~7割 | 1割~3割 | なし |
〔施設〕 ・介護老人保健施設 ・介護療養型医療施設 ・介護医療院 |
9割~7割 | 1割~3割 | なし |
(2)請求方法
ア 通常の場合
公費併用扱いとし、診療報酬明細書及び診療報酬請求書により、社保は支払基金、国保は国保連合会に請求してください。
イ 後期高齢者医療制度の場合は、国保連合会に請求してください。
ウ 生活保護受給者の場合は、支払基金に請求してください。
エ 介護保険の医療系サービスを提供した場合は、介護給付費明細書及び介護給付費請求書により国保連合会に請求してください。
オ 海外で生活していて医療保険証を持たない人については、請求の際にパスポートの写しを添付する等、10割で支給する根拠が分かるようにしてください。
(3)被爆者一般疾病医療機関が行う手続について
発生事項 | 必要な手続 | 提出先 |
・医療機関の廃止 |
辞退の申出書を提出 |
被爆者一般疾病医療機関の所在地を管轄する県保健所又は中核市保健所、名古屋市内にあっては県庁健康対策課 |
・病院(診療所)から診療所(病院)へ変更 ・開設者を個人(法人)から法人(個人)へ変更 ・医療機関の移転による所在地の変更 ・開設者の死亡・解散等による開設者の変更 |
前回の指定分について辞退の申出書を提出すると同時に、改めて指定申請書を提出 | 被爆者一般疾病医療機関の所在地を管轄する県保健所又は中核市保健所、名古屋市内にあっては県庁健康対策課 |
・開設者の住所・氏名・名称の変更(法人の代表者変更のみの場合は除く) ・医療機関の名称の変更 ・医療機関の所在地の変更(住所表示変更、地番変更の場合) |
変更届を提出 | 被爆者一般疾病医療機関の所在地を管轄する県保健所又は中核市保健所、名古屋市内にあっては県庁健康対策課 |
なお、被爆者一般疾病医療機関の指定に必要な様式類(指定申請書、辞退の申出書及び変更届)は、県庁健康対策課、県保健所及び中核市保健所にあります。また、以下からダウンロードすることが可能です。連絡先電話番号も含め、保険医療機関としての情報と相違ないように御記入ください。
被爆者一般疾病医療機関指定申請書(医科・歯科・薬局・訪問看護事業所用)
被爆者一般疾病医療機関指定申請書(介護老人保健施設・介護医療院用)
被爆者一般疾病医療機関変更届 *変更前の情報は全て御記入ください。
被爆者一般疾病医療機関指定辞退の申出書 *前回の指定書の添付が必要です。
理由書(指定辞退の申出書に前回の指定書の添付ができない場合)
(4)その他
被爆者一般疾病医療機関である旨を、医療機関の見やすい場所に標示してください。
6 介護保険等利用の助成
(1) 愛知県に居住する被爆者の方が、以下の介護保険の福祉系サービスを利用した場合、自己負担額を助成します。
対象サービス |
助成内容 |
---|---|
・訪問介護 ・介護予防訪問介護 ・第1号訪問事業(サービス種類 コードA2に限る。)
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1割の自己負担額 (ただし、生計中心者が所得税非課税の場合に限る(※1))
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・通所介護 ・介護予防通所介護 ・第1号通所事業(サービス種類 コードA6に限る。) ・認知症対応型通所介護 ・介護予防認知症対応型通所介護 ・地域密着型通所介護 ・短期入所生活介護 ・介護予防短期入所生活介護 ・定期巡回・随時対応型訪問介護看護 ・小規模多機能型居宅介護 ・介護予防小規模多機能型居宅介護 ・複合型サービス(看護小規模多機能型居宅介護) ・介護老人福祉施設 ・地域密着型介護老人福祉施設 ・認知症対応型共同生活介護 ・介護予防認知症対応型共同生活介護
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1割~3割の自己負担額 |
※ 訪問介護について助成を受ける際には、被爆者健康手帳及び県が交付する「訪問介護利用被爆者助成受給資格認定証」を事業者に提示する必要があります。
(2) 愛知県に居住する被爆者の方が、老人福祉法に基づく施設入所をした場合、入所費用を助成する事業を実施しています。
対象事業 |
助成内容 |
---|---|
・養護老人ホーム
・特別養護老人ホーム |
入所費用として市町村が徴収する額
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(3) 次のサービス(介護保険の医療系サービス)については、一般疾病医療費の給付と同様に国が自己負担分を支払います。
対象サービス
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助成内容
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---|---|
・訪問看護 ・介護予防訪問看護 ・訪問リハビリテーション ・介護予防訪問リハビリテーション ・居宅療養管理指導 ・介護予防居宅療養管理指導 ・通所リハビリテーション ・介護予防通所リハビリテーション ・短期入所療養介護 ・介護予防短期入所療養介護 ・介護老人保健施設 ・介護療養型医療施設 ・介護医療院 |
1割~3割の自己負担額
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7 被爆二世について
被爆二世健康診断
被爆二世の方の中には、健康面での不安を訴え、健康診断を希望される方が多いことから、国が各都道府県、広島市及び長崎市に委託をして実施しています。
⑴ 対象となる方
両親又はそのどちらかが原爆被爆者で、(広島で被爆された方については昭和21年6月1日以降に出生、長崎で被爆された方については昭和21年6月4日以降に出生)受診を希望する愛知県在住の方。(愛知県以外に在住の方については、お住まいの都道府県にお尋ねください。)
⑵ 実施期間
毎年1月頃に実施しています。
⑶ 受診希望の方
今までに被爆二世の登録をされていない方で、令和4年度被爆二世健診の受診を希望される場合は、下記「被爆二世申出書」に必要事項を記入の上、令和4年10月31日(月曜日)までに健康対策課原爆・アレルギー対策グループあてに郵送してください。記入いただいた情報をもとに名簿に新規登録をさせていただき、被爆二世健診の案内(申込書)を送付します。
また、愛知県では令和3年度より「被爆二世健康記録簿」を新たに作成し、希望される方に配布しておりますので、希望される場合は、上記「被爆二世申出書」の「被爆二世健康記録簿」欄で「希望する」にチェックをしてください。県庁で受理した月の翌月中の発送となります。
*被爆二世健康記録簿の詳細については、下記をご覧ください。
※ なお、手続きの効率化を図るため、過去3年間に受診実績がある方につきましては、ご連絡をいただかなくても健診の案内を送付いたします。
⑷ 健診内容
- 健康診断の内容については被爆者健康診断とほぼ同様です。ただし、がん検診はありません。
- 平成28年度から希望者に対して多発性骨髄腫検査(血清蛋白分画検査による)の受診が可能となりました。
8 原爆被爆者相談
愛知県では、原子爆弾被爆者の健康保持及び福祉の向上を図るため、原爆被爆者相談事業を愛知県原水爆被災者の会(愛友会)に委託して実施しています。
お気軽に御利用ください。
委託先 愛知県原水爆被災者の会(愛友会)
名古屋市北区黒川本通2-11-1 コーポタニグチ201
電話 (052)325-7901
相談日時 月・水・金 午後1時から午後4時まで
※愛友会では、この常設相談のほか次の事業等を行っています。詳しくは電話で問合せください。
健康診断の推奨 |
定期健診、がん検診受診奨励、被爆者宅への家庭訪問 愛友会ニュースの発行 |
資料の収集・保存 |
「被爆体験を聞く会」への講師派遣、被爆体験語り残し、絵画・写真等被爆資料の保存と提供の呼びかけ、貸し出し |
出張相談会 (集団説明の後個別相談もできます。) |
〇令和5年度は下記のとおり開催 ・6月17日(土曜日) 13時30分~15時30分 岩倉市役所7階大会議室 ・6月24日(土曜日) 13時30分~15時30分 名古屋都市センター14階第2会議室 ・6月25日(日曜日) 13時30分~15時30分 岡崎市竜美丘会館3階303号室 ・7月2日 (日曜日) 13時30分~15時30分 名古屋都市センター14階第2会議室 |
原爆犠牲者を偲ぶつどい |
令和5年9月25日(月曜日) 13時00分~15時30分 名古屋市公会堂 4階ホールにて開催(毎年ほぼ同時期に開催) |
9 その他
愛知県においては、「原爆と人間」パネルの展示を毎年7月から8月にかけて県庁や保健所で行っています。また、貸出も行っていますので、どうぞ御利用ください。