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「豊かな海」ってなんだろう?

ページID:0666946 掲載日:2026年11月2日更新 印刷ページ表示
14 海の豊かさを守ろう
伊勢湾・三河湾は、川から流れ込む豊富な栄養に育まれ、昔から豊かな漁場として知られてきました。
アサリ、ノリ、シラス、クルマエビなど、この海で育つ多くの水産物が、漁師さんたちの手によって私たちの食卓に届けられています。
でも、いま、伊勢湾・三河湾の海の豊かさが失われつつあり、その恵みも少なくなっています。
これからの海づくりで大切なのは、「きれいな海」と「豊かな海」の両方を実現することです。

「きれいな海」と「豊かな海」

「きれいな海」はいいですね………でも

皆さんは、どんな海が好きですか?

ゴミがない海、いやなにおいのしない海、そしてどこまでも青く、底が見えるほど透き通った海。こうした「きれいな海」はもちろん大切で、誰もが憧れます。

でも、海の生き物にはもう一つ大切なものがあります。 

 

きれいな海

生き物にとっては「豊かさ」も大事

愛知県の海は、南の島のように「青く透き通った」とはいかず、少し茶色っぽく見えます。しかしこれは、アサリなどの餌になるプランクトンが豊富なためで、決して「汚れている」海ではありません。

豊富なプランクトンが、豊かな海の恵みを支えているのです。生き物のためには「きれいな海」だけではなく「豊かな海」であることも考えなくてはなりません。


潮干狩りで賑わう干潟
​生き物にとって良い海は、栄養塩が豊富でプランクトンがたくさんいる海

栄養塩は海の生き物を育てる肥料

魚やアサリ、ノリなどの生き物は、窒素(ちっそ)やリンなどの「栄養塩(えいようえん)」によって支えられています。陸上の植物に肥料が必要なように、海の生き物にも栄養塩が欠かせません。

栄養塩はノリやワカメなどの海藻や、植物プランクトンを育てます。植物プランクトンは魚や貝の餌となり、多くの生き物を育みます。

海の食物連鎖

 

海はどう変わってきたの

高度経済成長期の海

昭和時代中ごろの高度経済成長期、工場や家庭からの排水によって、海にはたくさんの汚れや有害物質、多すぎる栄養が流れ込みました。その結果、「公害」「きたない海」が社会問題となっていました。

高度経済成長期の海

水質改善で「きれいな海」へ

50年ほど前から、工場や家庭 などの排水の規制が進み、海の 水はかなりきれいになりました。下水道などの整備が進んだ結果でもあり、これはとても素晴らしい、先人たちの努力の成果です。

水質改善できれいな海に

栄養不足が新しい課題に

一方で、窒素やリンの削減が進んだことが要因の一つとなり、生き物に本来必要な栄養が不足するようになってきました。

その結果、ノリが黒くならない、アサリが餌不足でやせて死んでしまうなどの影響が見られています。

栄養塩不足が新たな課題に


伊勢湾に流れ込む窒素の量の経年変化を示したグラフ

伊勢湾に流れ込む窒素の量

 

伊勢湾に流れ込むリンの量の経年変化を示したグラフ

伊勢湾に流れ込むリンの量​

 
色落ちした海苔 餌不足のアサリ
栄養たっぷりで色が良いノリ 栄養不足で黒くならないノリ 栄養たっぷりで太ったアサリ 栄養不足でやせたアサリ

愛知のノリの品質は全国でも評価が高いのです。

味がなく、ひどいと売り物になりません。

昔のアサリは、殻が割れるほど身が太っていました。

体力がなく冬を越せずに死ぬことが多いです。

これからの海づくり-「きれいで豊かな海」を目指して-

水質の保全と『豊かな海』の両立に向けた社会実験

こうした問題に対して漁業者は強い危機感を持ち、2017年度に県に対策を要望しました。
県ではこれを受け、県内2か所の浄化センターにおいて、2017年の秋から規制基準の範囲内で放流水中のリンを増加させる試験運転を実施し、さらに、2022年度からは、窒素とリンの濃度の規制値増加させて、環境への影響と漁業への効果を調査する「水質の保全と『豊かな海』の両立に向けた社会実験」を実施しました。

その結果、周辺海域で環境への悪影響は見られず、ノリやアサリに一定の効果があることが確認されました。

詳細は、この社会実験の効果を検証した「愛知県栄養塩管理検討会議」の報告書に記載されています。

愛知県栄養塩管理検討会議

漁業生産に必要な望ましい栄養塩管理のあり方

愛知県栄養塩管理検討会議では、「社会実験」の結果を検証するとともに、漁業生産に必要な栄養塩管理のあり方について、全5回にわたり検討しました。

その結果として、報告書「漁業生産に必要な望ましい栄養塩管理のあり方」を2025年2月に取りまとめ、漁業生産に必要な栄養塩濃度を目指して、下水処理場における増加運転が恒常的に実施できる枠組みづくりと、栄養塩を漁業生産につなげるための干潟・浅場造成等の取組を、両輪として推進し、水質の保全と豊かな海の両立を目指していくべきと結論づけました。

漁業生産に必要な望ましい栄養塩管理のあり方(PDF)

水質の保全と豊かな海の両立

制度の見直しが進んでいます

「きれいで」「豊かな」海の実現を目指した、水環境政策の制度見直しも進んでいます。

目標とする水質レベルごとに海域を区分して水質環境基準を当てはめる「水域類型指定」の見直しや、これまで進めてきた「水質総量削減制度」から「水質総量管理制度」への転換などです。

詳細は、県環境局や環境省のサイトをご確認ください。

⇒三河湾の水域類型指定の見直し(愛知県環境局)

生活環境の保全に関する水質環境基準の水域類型の指定を見直します

⇒伊勢湾の水域類型指定の見直し(環境省)

環境基本法第16条の規定に基づく水質汚濁に係る環境基準を定める件(平成14年3月環境省告示19号)の一部を改正する案に対する意見の募集について​

 ⇒「水質総量削減制度」から「水質総量管理制度」へ(環境省)

「第10次水質総量削減の在り方について-総量削減から総量管理への転換-(答申)」

どんな海をめざすのか

海は『きれい』なだけでは生き物が育ちません。どんどんきれいにしていこうという時代から、生き物に必要な栄養を上手に管理する時代へと、考え方が変わってきています。
水質は良好で、必要な栄養と生まれ育つ場所が確保された環境のもと、様々な生き物が豊富にバランス良く生息できる海、このような海こそが、これから私たちが目指すべき「豊かな海」です。
愛知県は、「きれいな海」と「豊かな海」の両立を目指す取組を進めていきます。ぜひ皆さんも、身近な海のこれからについて考えてみませんか。

豊かな海ってなんだろう [PDFファイル/3.62MB]

ノリのキャラクターアサリのキャラクター

問い合わせ先

愛知県 農業水産局 水産課
企画・環境グループ
担当 日比野・柴田
内線 3782・3783
ダイヤルイン 052-954-6458
E-mail: suisan@pref.aichi.lg.jp
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