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環境配慮(事例等)
農業農村整備事業における「環境との調和への配慮」
農業農村整備事業は、農業生産性の向上等を通じた農業の持続的な発展に資するものであるが、一方では、現在の自然を形成している地域環境を改変することにより、工事区域やその周辺の自然環境に対し一定の負荷を与える側面も有しています。
環境との調和への配慮を行うことにより、地域の自然生態系が保全される等の効果があり、その便益は農家を含めた地域住民全体に及びます。一方、環境配慮型で整備する場合、従来工法と比べ施設の整備費や維持管理労力・経費が増加したりすることが考えられます。
このため、環境との調和への配慮を行う水準や具体的な内容については、事業地区内の農家のみならず地域全体の問題として捉え、その進め方と負担方法(維持管理を含む)について合意形成を図ることを基本とする必要があります。
環境への影響を緩和する方法
環境との調和への配慮は、「環境配慮の5原則(ミティゲーション5原則)」に基づき行います。
<回 避> 行為の全体又は一部を実行しないことにより、影響を回避すること
<最小化> 行為の実施の程度又は規模を制限することにより、影響を最小とすること
<修 正> 影響を受けた環境そのものを修正、復興又は回復することにより、影響を修正すること
<影響の軽減/除去> 行為期間中、環境を保護及び維持することにより、時間を経て生じる影響を軽減又は除去すること
<代 償> 代償の資源又は環境を置換又は供給することにより、影響を代償すること
環境配慮対策の選び方
環境との調和への配慮する対策は、環境配慮の5原則により実施することを基本としますが、環境配慮の5原則を適用するに当たっては、農業生産性の向上等の事業目的への影響や費用、維持管理等の観点から、実施の可能性を順次検討し、最も適当なものを選定します。
具体的には、「回避」→「最小化、修正、影響の軽減/除去」→「代償」の順番に実施の可能性を検討します。
環境との調和に配慮した事業計画
環境との調和への配慮を適切に行うためには、地域における環境の特性は何か、対象となる施設が地域の生態系にとってどのような役割を果たしているかを調べた上で、有効な環境配慮対策を検討しなければならない。
地域の実情に即しつつ的確に検討を行うために、有識者や、地域住民等の意見を十分に踏まえることが重要であり、調査方法や環境配慮対策の検討等の過程を客観性・透明性の高いものとする必要があります。
愛知県においては、平成15年9月に「愛知県農業農村整備環境配慮検討委員会」を設置し、環境配慮措置や地域住民の意向等について学識経験者や専門家等を交えて意見交換することとしています。
愛知県における環境配慮地区事例
番号 | 事業名・地区名・事例 | 工期 | 関係市町村 | 環境配慮概要 |
1 |
農地環境整備事業 名倉東地区 |
H19 ~ H26 |
設楽町 | 用水路に脱出用施設、排水路に魚巣ブロック等を設置した |
2 |
かんがい排水事業 中井筋地区 |
H12 ~ H31 |
安城市 刈谷市 高浜市 |
多自然型護岸や魚道を整備した |
3 |
経営体育成基盤整備事業 長岡地区 |
H17 ~ H22 |
稲沢市 |
農村公園内に木製沈床を配置した池を整備した |
4 |
農村活性化住環境整備事業 深池地区 |
H21 ~ H27 |
西尾市 |
排水路に魚巣ブロック、スロープを設置した |
5 |
水環境整備事業 阿古井地区 |
H24 ~ H27 |
一宮市 | 排水路や池の護岸に魚巣ブロックを設置した |