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平成29年度第2回愛知県義務教育問題研究協議会の概要
平成29年度第2回義務教育問題研究協議会を開催しました。
本会は、本県の義務教育に関する諸問題について、研究協議を行う協議会です。今回の会議では、平成28・29年度の協議題「グローバル化に対応した新たな英語教育の在り方」について、御意見と御助言を頂きました。その内容を報告します。
研究協議会の概要
日時:平成30年1月26日(金曜日)午後2時から午後4時まで
会場:愛知県庁西庁舎 教育委員会室
1 開会
2 教育委員会挨拶(事務局長)
3 会長・副会長挨拶
4 議事
(1)報告事項
○ 平成29年度愛知県義務教育問題研究協議会の経過について
(2)協議事項
○ リーフレット「グローバル化に対応した新たな英語教育の在り方」(案)について
○ 平成30年度研究協議の方向性について
(質問は「○」 回答は「→」 意見は「・」)
<リーフレットの説明>
・ リーフレットの理念編は平成28年度版を改訂した。事例編は、パスポート(自己評価シート)の小学校版と中学校版、中学校外国語(英語)科第2学年及び第3学年のパフォーマンス評価の事例を作成した。
・ 「理念編」では、小学校中学年、高学年、中学校、中学校卒業時の四つに分け、各段階で身に付けさせたい資質・能力等について5領域別に要点を整理してまとめている。また、この2年間で作成した事例編の紹介をしている。
・ パスポート(自己評価シート)は、児童生徒が学習内容について自分の達成状況を振り返るものである。児童生徒が「分かる」「できる」を実感しながら、意欲をもって学び続けることができるようにという趣旨で作成している。小学校は文部科学省から出された新教材「Let’s Try!」、「We Can!」の学習内容を基に、中学校は教科書の内容を基に評価シートを作成している。
・ 中学校外国語(英語)科第2学年及び第3学年のパフォーマンス評価の事例は、学年末に行うことを想定し、作成している。「〇〇できる」という加点方式で評価をし、フィードバックしていくことで、生徒の学習意欲を高め、積極的に英語でコミュニケーションを図ろうとする態度を育んでいきたいと考えている。
<理念編について>
・ 小学校中学年、高学年、中学校という各段階を示す軸が、はっきりしていて分かりやすい。さらに、領域を示す軸が各段階に応じてつながっていて、整理されている。色合いについて青が多く使われており、やや暗い感じがする。
・ 全体像が示され、道筋がはっきりしているので分かりやすい。「聞き手に配慮しながら」、「読み手に配慮しながら」など「配慮」という言葉が使われているが、何をどう配慮するのかが、分かりづらく曖昧に感じる。
・ 配慮という言葉は、文部科学省が使っている言葉である。学習指導要領の目標には、「コミュニケーションにおける見方、考え方を働かせ」とある。言いたいことを主張するだけでなく、言葉を選びながらスピードを変えて話すなど、伝わりやすいように配慮をして言葉を使える人を育てましょうというメッセージが学習指導要領の目標に込められている。この言葉が大事であると考えているので意識して使った。
・ 2、3ページのまとめ方は、非常に分かりやすい。4ページのパスポートの例が小さくて読みづらい。シートの一部分を載せるだけでも伝わると思う。
<パスポート(自己評価シート)について>
・ 来年度の移行措置に合わせて「Let’s Try!」、「We Can!」を基に迅速に作成していただき感謝している。子供たちに身に付けさせたい内容が明確に示されており、何ができるようになればよいのかがはっきりとしている。懸念することは、評価が先行することにならないように、本来の目的である楽しみながら学ぶということが伝わるように、学校に周知してほしい。
・ 評価のための評価にならないようにという点は、プロフィールのページに示されているので、じっくりと読んでいただくとよい。
・ この評価シートは、子供が自分で色を塗り、何度か振り返りながら塗っていく。教員がこのシートを確認したとき、教員の把握と子供の意識が同じであれば、適切な評価にもつながっていく。
・ 自己評価というのは、その都度、評価をして次に進んでしまいがちであるが、後でできるようになったときに、また自己評価できるというのは、すばらしい発想である。
〇 3年生、4年生の教材は学習指導要領の全面実施後も使えるが、5年生、6年生は教科書になっていく。5年生、6年生については、移行措置の2年間は使えるが、教科書になったときにどう対応していくのか。
→ 教科書になったときは、このパスポートを参考に市町村や各学校で工夫して活用・作成していただけたらと思う。
・ 地区ごとに使う教科書も変わる可能性があり、現在のものでの対応は難しいが、県教委としてアイディアを提供したので、各学校で参考にしていただけるとよい。
・ 生徒自身が振り返るときに、「仲間の助けを借りて」という文言があるところも工夫されている。自己肯定感が低い子もいると思うので、「〇〇君できているよね」など、一緒に学ぶ仲間からプラスのメッセージで、フィードバックしてもらえるような使い方もあるのではないか。
・ 最後の振り返りのページは、ALT等もいるので、「担任の先生より」と限定しなくてもよいのではないか。例えば、「先生より」としておけば、より多くの方が一言書けるかと思う。
・ ユニット学習後は赤色で塗って、学期末は青で塗るなど、毎回色を変えて塗ると自分の変化がわかってよい。生活科ではよくやっていて、プラス方式で色を変えていくと、どの学期でそれができるようになったのかはっきりする。3段階で振り返るのは良いアイディアなので、色を変えるとよりよいと思う。
〇 中学校では、客観的なペーパーテストも並行してある。その関係で先生方が迷ったり、使いにくさを感じたりすることはないか。
→ コミュニケーションに関わる5領域、特に「話すこと」「書くこと」の技能があるかどうかは、実際にパフォーマンスを見ないと分からない。「話すこと」「書くこと」を評価することで、生徒たちの頑張ろうとする気持ちが高まる。そのための指導と評価の一体化の在り方として、パスポートやパフォーマンス評価の事例を提案している。
〇 中教審答申では評価の観点として3観点を示しているが、5領域の評価とずれることはないか。
→ 4技能5領域を評価すれば、3観点に反映されてくる。
・ 学級担任が英語の授業を行うので、こういったものがあれば本当に心強いと思うし、先生方の助けになる。表現上のことで、小学校版の3年生、4年生のシートは、全て文の形で書いてある。5年生になるとユニットの部分が、単語であったり体言止めであったり、文章であったりするので、少し整理するとよい。
・ 3年生、4年生は内容が少なく文章で記述できるが、5年生、6年生になると内容が多く文章にしていると収まらないのでこのようにしてある。
・ 言葉の重なりも含め、改善できる表記については改めて精査、整理していきたい。
・ 自分は英語を実際に使う場面になると、ためらってしまうが、今の子供たちはそういうことを払拭して積極的にコミュニケーションを取れることを目指していく。小・中学校では、スピーキングの相手が、身近な友達や先生、ALT等になるが、最終的には自ら進んで街で出会った外国人と会話をすることなどを目指して取り組めるとよい。パスポートの中にもそうした内容を位置づけるのはどうか。
・ 私たちが育てたいのはグローバル人材であり、将来的にはどんな人ともやり取りできる人を育てたいので、そういう視点をもつ必要はある。中学校パスポートのプロフィールのページには、「世界中の多くの人と関わることができたら素敵ですね」と書いている。
・ 最後のページの振り返りで、「保護者の方より」という欄があるが、保護者に限定しなくてもよいのではないか。
・ 保護者のコメントに限定するのは難しいかもしれないが、保護者の視点で子供の学習の様子を見ることは大事だと思う。
・ 小学校は、夏休みの日誌などでも保護者の言葉を書くので書けると思うが、中学校は何を書けばよいのかと思う。
・ 友達のコメントに変えるなど幅を持たせ、誰かからメッセージをもらうというのはどうか。
・ 学校で何をやっているのか親にも関心をもってもらいたいというねらいがあるならば、保護者のサインなどでねらいは達成される。
・ 学校にもよると思うし、担任の言い方でも変わる。実態に応じて使えるとよい。
・ 教科担任の先生や保護者の方に限定しない方が、現場では使いやすいのではと思う。
・ プロフィールのところで自分の写真を貼る場所があるが、個人情報の管理面で心配である。
<中学校パフォーマンス評価事例について>
・ 第1回の協議会で触れた内容が反映され、指導者が使おうと思えるような見やすい作りである。
・ パフォーマンステスト作成上の意図及び工夫が書かれていて、指導者が落としてはならない点を押さえながら、より活用しやすいものになっている。
〇 第1学年の事例がない理由は。
→ 文法や知識が増えていく2年生、3年生について、評価がペーパーテストに偏らずパフォーマンス評価など多様な見方で学習状況を把握できるとよいということで、2年生、3年生の事例を作成した。また、現行の学習指導要領では、1年生の学習内容で4技能5領域の高まりが見えにくいので、良い事例にはならないという考えもあった。
<その他>
・ リーフレットの流れで指導していけば、英語力がどのくらいつくのだろうと夢が膨らむ。ただ、移行期間は、各学年でどのようにスタートするのがベストかを考えて指導していただきたい。
〇 パスポートは、保管がどのくらいできるのかという心配がある。保管の仕方は各学校に任せることになると思うが、冊子になる可能性があるのか。
→ 予算を取ってきれいな形で子供たちに持たせたいという思いはあるが難しい問題である。
・ 自由に使ってよいのであれば、市内の企業に働き掛けてしっかりしたものを作るなど、市町村でも工夫の余地があると思う。
・ 理念編の中学校卒業時に目指す姿の下のイラストは、グローバルなイメージがよい。事例編のイラストとうまくタイアップすることで違ったイメージになると思う。また、色についても内容がつながるところは同じ色でそろえるなど、統一感を持たせるとよい。
・ 孫が3年生で、習い事で英語を学習しているのを、下の子も見ていて一緒になってやっている。これからも英語を楽しく学んでほしい。
・ 様々な御意見を頂いたので、事務局と検討した上で修正し、最終的には会長の方で確認するということでよろしいか。
【委員了承】
<平成30年度研究協議の方向性について>
・ プログラミング教育について、小学校の新学習指導要領の中に示されているが、具体的な事例が示されていないので、協議題として取り上げたらどうか。カリキュラムに合った教材開発、環境整備の在り方など、実施に当たっての課題が多いと思う。
・ プログラミングという言葉が先行しており、現場では何をどうするかとか、教科の中でプログラミング的思考をどう育成していくのかという心配がある。カリキュラム・マネジメントという点からもこれからの取組として大切だと思う。
・ 産業界は合理的、論理的で筋道立てたものの考え方ができる人を必要としており、是非取り上げてほしい。プログラムを動かしてみると、作ったという実感があるし、自分の考えたものが形になるので、楽しい授業になると期待している。
・ 今の御意見を参考に、事務局で検討していただきたい。
5 連絡事項
6 閉会の挨拶
7 閉 会