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「知の拠点あいち」重点研究プロジェクトにおいて、ヒトの息を調べて健康管理に役立てる実証試験に取り組んでいます!

ページID:0077082 掲載日:2014年10月30日更新 印刷ページ表示

平成26年10月30日(木曜日)発表

~呼気に含まれる水素ガス濃度と生活習慣等との関連を解明します~

 愛知県は、(公財)科学技術交流財団に委託して大学などの研究シーズを企業の製品化・事業化につなげる産学行政連携の共同研究開発プロジェクト『「知の拠点あいち」重点研究プロジェクト』※1を実施しています。

 このたび、プロジェクトの1つであるP3「超早期診断技術開発プロジェクト(プロジェクトリーダー:名古屋大学 太田美智男特任教授)」※2において、「ガスセンシング機器開発と呼気分析」をテーマに研究を行うグループ((公財)愛知県健康づくり振興事業団(以下「同事業団」)、愛知工業大学、(独)産業技術総合研究所(以下「産総研」)、中部大学)は、産総研が開発した「呼気水素検知器」を用い、非侵襲※3で簡単に採取できるヒトの吐く息を調べて、健康や食事の管理に役立てたり、病気の早期発見につなげることを目的とした実証試験に取り組んでいます。これまでに、同事業団のあいち健康の森健康科学総合センターにおいて、一般成人170名余の呼気を採取し、採取時の問診結果と照らし合わせた結果、呼気に含まれる水素ガス濃度と、運動習慣や食習慣の健康管理、貧血や脂質異常症※4の病気等に関連性が見られることが判明しました。

 本件について、平成26年11月1日(土)に開催される「第6回日本安定同位体・生体ガス医学応用学会大会」(会場:東邦大学医療センター大森病院5号館臨床講堂)において、同事業団及び産総研の研究者が発表を行います。

 プロジェクトでは、今後、実証試験の規模を拡大し、さらに詳しく、呼気中に含まれる水素ガス濃度と、生活習慣や食事、あるいは病気等との関連を解明していきます。将来的に、息は自宅で気軽に調べられることから、日常生活での健康管理や生活習慣の改善、さらには病気の早期発見に活用されることが期待されます。

1 背景

 日常的に体の状態をモニタリングし、健康管理や病気の早期発見につなげることは、健康な生活を送るために、また、病気になっても早期に治療を始めるために極めて重要であり、こうした取組は医療費削減にも寄与します。

 本開発では、体の状態をモニタリングする新たな対象として、ヒトの吐く息に注目しました。息は数百種類以上の成分から成り、体の状態を示す情報が多く含まれていると言われています。しかしながら、これまでに健康や病気に関連する息の成分やその濃度について定量的な検証が殆ど行われていません。息の成分の中でも、水素ガス濃度は消化機能の働きに関連すると言われており、体の状態の指標となることが期待されています。

 そこで、呼気に含まれる水素ガス濃度と健康管理や病気等との関連性について、産総研が開発した「呼気水素検知器」を用いて、あいち健康の森健康科学総合センターにおいて、簡単・迅速・高精度に水素ガス濃度の測定を行い、同時に、被験者に詳細な問診を行うことにより、水素ガス濃度と生活習慣や食事、あるいは病気との関連を解明していきます。

2 本開発の概要

(1)共同研究機関および主な研究者

共同研究機関および主な研究者
 機関名 主な研究者(所属・役職)
 愛知工業大学

 佐藤一雄 氏 (工学部・教授)

「知の拠点あいち」重点研究プロジェクト  P3-G3グループリーダー

 (公財)愛知県健康づくり振興事業団

 津下一代 氏

(同事業団・理事、あいち健康の森健康科学総合センター・センター長)

(独)産業技術総合研究所 

 申ウソク 氏

(先進製造プロセス研究部門電子セラミックプロセス研究グループ・研究グループ長)

 中部大学

 近藤孝晴 氏

(生命健康科学部・教授)

(2)実証試験の詳細

○実施場所 あいち健康の森健康科学総合センター

○被験者 あいち健康の森健康科学総合センター開催イベントの来訪者のうち、協力を得られた方

○方法 問診と、息をガスバックで採取し「呼気水素検知器」で測定

○問診内容 性別、年齢、身長、体重、生活習慣(朝食、牛乳、排便、喫煙、飲酒、運動習慣等)、疾病の有無(高血圧、糖尿病、肝臓病、がん、貧血等)

○これまでの結果(平成26年6月~8月、被験者172名(男性71名、女性101名))

  • 息の水素ガス濃度と年齢、運動習慣、牛乳摂取、排便、脂質異常症、貧血について関連性が認められた。
  • 特に、運動習慣、牛乳摂取、脂質異常症、貧血については、「あり」の群で、明らかに息の水素ガス濃度が高かった。

 

図1 ヒトの息の採取イメージ

図1 ヒトの息の採取イメージ

図2 呼気水素検知器

図2 呼気水素検知器(提供:椙山女学園大学 滝本成人准教授)

(3)呼気水素検知器について

産総研が開発した熱電式水素センサを用いた高感度で耐久性のある水素ガス濃度の測定器。主な特徴は次のとおり。
開発品と従来品の比較について
項目 方式 測定領域 コスト 
 開発品 熱電式※5 ppm※6オーダーの低濃度から高濃度まで 従来品以下
 従来品 接触燃焼式※5 高濃度の計測が得意 -

3 今後の実証試験(予定)

 引き続き、あいち健康の森健康科学総合センター開催のイベントにおいて実施

  •   総被験者目標数 400人程度(平成26年度)

4 第6回日本安定同位体・生体ガス医学応用学会大会概要

○  会期 平成26年10月31日(金)~平成26年11月1日(土)

○  会場 東邦大学医療センター大森病院5号館臨床講堂

○  大会テーマ 「我々は何処からきたのか~何者か~何処へ行くのか」

       安定同位体・生体ガス研究の調和、その原点そして未来

○  大会事務局 埼玉医科大学総合医療センター高度救命救急センター内

      担当:柿元   電話番号:049-228-3755

5 問合せ先

  • 本開発に関すること

(実証試験)

(公財)愛知県健康づくり振興事業団

(1)担当:あいち健康の森健康科学総合センター 健康開発部健康教育課 大曽基宣、猪股奈美

(2)所在地:知多郡東浦町大字森岡字源吾山1-1

(3)電話:0562-82-0211

(4)FAX:0562-82-0228

 

中部大学

(1)担当:生命健康科学部 スポーツ保健医療学科 教授 近藤孝晴

(2)所在地:春日井市松本町1200

(3)電話:0568-51-9260

(4)FAX:0568-51-5370

 

(呼気水素検知器)

(独)産業技術総合研究所

(1)担当:先進製造プロセス研究部門電子セラミックプロセス研究グループ 研究グループ長 申ウソク

(2)所在地:名古屋市守山区下志段味穴ケ洞2266-98

(3)電話:052-736-7107

(4)F A X:052-736-7244

 

(本開発全般)

愛知工業大学

(1)担当:工学部 教授 佐藤一雄

(2)所在地:豊田市八草町八千草1247

(3)電話:0565-48-8121 内線2304

(4)FAX:0565-48-4555

 

  • プロジェクト全体に関すること

あいち産業科学技術総合センター 企画連携部

(1)担当:鹿野

(2)所在地:豊田市八草町秋合1267番1

(3)電話:0561-76-8306

(4)FAX:0561-76-8309

 

(公財)科学技術交流財団 知の拠点重点研究プロジェクト統括部

(1)担当:安部、山本、冨田、村山

(2)所在地:豊田市八草町秋合1267番1

(3)電話:0561-76-8380

(4)FAX:0561-21-1653

 

用語説明

※1「知の拠点あいち」重点研究プロジェクト

 高付加価値のモノづくりを支援する研究開発拠点「知の拠点あいち」を中核に実施している産学行政の共同研究開発プロジェクト。大学などの研究シーズを企業の製品化へつなげる橋渡しの役割を担う。

※2 超早期診断技術開発プロジェクト

 (プロジェクトリーダー)名古屋大学 特任教授 太田美智男 氏

 (内容)超高齢化社会において、全国的に増加が予想される脳・循環器系疾患、がん、生活習慣病を早期に発見するために、工学系の研究者と医学系の研究者(医師)が医工連携体制を構築し、痛みがない、少ない、簡易な早期診断技術や日常的な健康モニタリング技術を確立する。

 (参加機関)16大学6公的研究機関17企業(うち中小企業9社)(平成26年10月1日現在)

【16大学】愛知工業大学、中部大学、名古屋大学、名古屋工業大学、豊橋技術科学大学、愛知県立大学、愛知学院大学、椙山女学園大学、中京大学、豊田工業大学、名古屋市立大学、京都工芸繊維大学、埼玉医科大学、広島大学、広島市立大学、北海道大学

【6公的研究機関】(公財)愛知県健康づくり振興事業団、(独)産業技術総合研究所、(独)国立長寿医療研究センター、愛知県がんセンター、あいち産業科学技術総合センター、(公財)科学技術交流財団

※3 非侵襲

 ヒトへの痛みや負担がないこと。

※4 脂質異常症

 血液中の脂質、具体的にはコレステロールや中性脂肪が多過ぎる病気のこと。脂質が血管の内側にたまり動脈硬化、さらに、心筋梗塞や脳梗塞の発作につながる恐れがある。

※5 熱電式、接触燃焼式

 熱電式は、水素と触媒との発熱反応により発生する温度差を熱電変換膜で電圧信号に変換し測定するもので、水素ガスを低濃度から高濃度まで広範囲で精度よく測定可。接触燃焼式は、触媒燃焼の発熱による僅かな素子温度上昇を信号として測定するもので、水素ガスの低濃度での測定感度が悪い。(引用:産総研HP)

※6 ppm

 濃度の単位。1ppm=0.0001%のこと。

 

問合せ

あいち産業科学技術総合センター
企画連携部企画室
担当 鹿野
ダイヤルイン 0561-76-8306

愛知県産業労働部産業科学技術課
科学技術グループ
担当 吉富、福田
内線 3384 3383
ダイヤルイン 052-954-6351