本文
県民環境委員会審査状況(令和7年12月9日)
県民環境委員会
委員会
日時 令和7年12月9日(火曜日) 午後0時58分~
会場 第6委員会室
出席者
鳴海やすひろ、柳沢英希 正副委員長
神戸洋美、石井芳樹、山本浩史、成田 修、佐藤英俊、村瀬正臣、
高木ひろし、福田喜夫、永田敦史 各委員
県民文化局長、県民生活部長、学事振興監、人権推進監、
女性の活躍促進監、文化部長、関係各課長等
委員会審査風景
付託案件等
議案
第157号 令和7年度愛知県一般会計補正予算(第5号)
第1条(歳入歳出予算の補正)の内
歳出
第3款 県民環境費の内
第1項 県民生活総務費
第167号 地方独立行政法人愛知県美術館機構に係る地方独立行政法人法第六条第四項及び第四十四条第一項の重要な財産を定める条例の制定について
第168号 地方独立行政法人愛知県美術館機構に係る地方独立行政法人法第十九条の二第四項の額を定める条例の制定について
第169号 地方独立行政法人愛知県美術館機構に係る地方独立行政法人法第五十九条第二項の内部組織を定める条例の制定について
第179号 地方独立行政法人愛知県美術館機構に承継させる権利について
第186号 地方独立行政法人愛知県美術館機構中期目標の策定について
第188号 地方独立行政法人愛知県美術館機構定款の変更について
第194号 愛知県女性総合センターの指定管理者の指定について
結果
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第157号、第167号から第169号まで、第179号、第186号、第188号及び第194号
請願
第 62 号 「令和8年度愛知県私学振興予算の充実」について
第 63 号 「令和8年度愛知県私立幼稚園関係補助金の充実」について
第 64 号 「学費と教育条件の公私格差を抜本的に是正するために私学助成の拡充をもとめる」について
結果
全員一致をもって採択すべきものと決した請願
第62号から第64号まで
措置
知事に送付し、処理の経過と結果の報告を請求する請願
第62号から第64号まで
会議の概要
- 開会
- 議案審査(8件)
(1)理事者の説明
(2)質疑
(3)採決 - 請願審査(3件)
- 一般質問
- 閉会
主な質疑
議案関係
【委員】
地方独立行政法人愛知県美術館機構について伺う。
第169号議案地方独立行政法人愛知県美術館機構に係る地方独立行政法人法第五十九条第二項の内部組織を定める条例の制定により、県の設置する文化芸術に関する施設を管理するための組織である愛知県美術館と愛知県陶磁美術館の職員が、別に辞令が発せられない限り、来年4月1日から地方独立行政法人愛知県美術館機構の職員になるとのことだが、これに関連した質問をする。
現在の愛知県美術館と愛知県陶磁美術館の組織や職員の人数はどのようになっているのか。
【理事者】
現在の愛知県美術館の組織については、館長、副館長の下、企画業務課と美術課の二課の体制となっている。
また、職員数については、正規職員が19人、非常勤職員が2人となっている。
なお、正規職員19人の内訳は、学芸員が15人、事務職員が4人である。
愛知県陶磁美術館の組織については、館長、副館長の下、総務課と学芸課の二課の体制となっている。
また、職員数については、正規職員が16人、非常勤職員が11人となっている。
なお、正規職員の16人の内訳は、学芸員が9人、陶芸指導員が1人、事務職員が6人である。
【委員】
今述べた職員のうち、どういった職員がこの条例の適用により地方独立行政法人愛知県美術館機構の職員になることを想定しているのか。
【理事者】
愛知県美術館及び愛知県陶磁美術館の正規職員のうち、事務職員を除いた専門職種である学芸員と陶芸指導員がこの条例の適用により、来年4月1日から地方独立行政法人愛知県美術館機構の職員になると想定している。
【委員】
第186号議案地方独立行政法人愛知県美術館機構中期目標の策定について、美術館運営の高度化を図るため、広報、資金調達やアートマネジメントに精通した専門人材の活用を図ることになっているが、来年4月1日から、こういった専門人材の活用を図っていく予定なのか。
【理事者】
専門人材の活用については、まず、愛知県陶磁美術館が設置している陶芸館において、利用者に作陶や絵付けといった陶芸の実習指導を行う陶芸指導員について、来年4月1日からの採用に向けて、現在募集を行っている。
また、広報等その他の専門人材についても、来年4月1日からの採用に向けて、募集手続を進めている。
選考の結果、採用に至った際は、専門知識を生かし、それぞれの分野で活躍してもらうことを想定している。
【委員】
地方独立行政法人愛知県美術館機構中期目標には、戦略的な法人・美術館運営ができる体制を構築すると記載があり、職員数が少なく、そのままスライドしてもそこまで大きい組織には見えないが、発足時にどのような職員配置をする予定なのか。
【理事者】
法人の組織体制や職員数については、来年度の予算編成に関連して、現在検討している。
愛知県美術館及び愛知県陶磁美術館の二館一体運営に伴う総務部門の業務集約により、両美術館の職員数を見直すとともに、企画・広報、財務・会計、人事・給与といった法人運営を担う職員を新たに配置した組織体制及び人員規模を想定している。
法人の設立後、理事長、館長のリーダーシップにより、法人が創意工夫を発揮しつつ、自己決定、自己責任の下で、両美術館の自主的、自律的な運営ができる体制となるよう努めていく。
【委員】
私の会社員時代に大きな組織改正があり、転籍は基本的には断れないこととなった。
身分の保障という意味では、出向や転籍は、処遇が変わる可能性がある。
今回は、職員の転籍、もしくは身分が同一の出向という認識でよいか。
【理事者】
先ほど述べた学芸員と陶芸指導員に関しては、出向ではなく転籍と理解している。
【委員】
転籍について、私の経験から要望を述べたい。
私も、二度の出向を経験したが、後輩は転籍になった。また、そのときに子会社の吸収合併が行われ、処遇が見直された。
今回の場合は、そのようなことはないと思うが、万が一にも処遇、特に手当の部分が改悪されてしまうと、身分保障に関わる。人数が少ないから、組織が大きいから、良い、悪いといった議論ではいけないと後輩を見て思った。
転籍するのであれば、断れないからこそ、処遇の詳細まで丁寧に説明し、なおかつ納得してもらうことが重要である。
今回の組織づくりにおいては、該当職員に丁寧に説明して納得してもらい、はつらつとした職場にしてもらいたい。
【委員】
私からは、第167号議案地方独立行政法人愛知県美術館機構に係る地方独立行政法人法第六条第四項及び第四十四条第一項の重要な財産を定める条例の制定について質問する。
この条例の第1条第2項に、愛知県からの支出に係る財産という表現があるが、この財産は美術品を指していると思う。
決算関係の資料に、美術品等取得基金運用状況調書があり、この質問をするに当たり、どれだけの美術品があるのかを見たが、1,871件とのことであった。条例で財産と表現している帳簿価額50万円以上の美術品について、県が購入するものは予算化されて議会でも確認しているが、中には寄附、寄贈された美術品もあり、この件数になっていると思う。
ただ、この1,871件の作品について、実際に地方独立行政法人愛知県美術館機構に管理、展示を依頼することは、この条例だけでは分かりにくいため、全体のことも含めて、特に寄附、寄贈作品について説明を求める。
【理事者】
現在、愛知県美術館においては、合計9,068件の作品を所蔵している。
また、愛知県陶磁美術館においては、合計8,751件の作品を所蔵している。
この内訳には、委員が述べた美術品等取得基金により取得した美術品も含まれているが、寄附、寄贈により取得した作品も多くあるため、愛知県美術館が9,068件、愛知県陶磁美術館が8,751件という所蔵作品数になっている。
なお、両美術館とも所蔵作品の約8割が寄附、寄贈によるものであり、主な寄附、寄贈作品の中には、愛知県美術館には、グスタフ・クリムトやウジェーヌ・アンリ・ポール・ゴーギャンといった作品をはじめ、取得時の評価額が1億円を超える作品を15件所蔵している。
【委員】
美術品等取得基金運用状況調書の数とかなり乖離しているが、非常に多くの所蔵品があり、また、かなり高額な作品も寄附されていることが改めて分かった。
地方独立行政法人化に当たり、県の財産である美術品について、基本的には譲渡かと思うが、今後どのような扱いになるのか。
【理事者】
現在、県が所有している美術品については、愛知県公立大学法人を設立した際の事例を参考にして、財産の交換、譲与、無償貸付等に関する条例の規定に基づき、法人へ無償譲渡することを想定している。
法人が美術館の貴重なコレクションとして美術品を所有することで、美術品を良好な状態で保管し、後世に継承することが可能になるとともに、展覧会で積極的に活用することにより、多くの人が多様で優れた美術品を鑑賞する機会の充実を図ることができる。
【委員】
法人に譲渡された美術品の処分については、どのように考えているのか。
【理事者】
今回提案した重要な財産を定める条例により、美術品は県からの支出に係る財産に該当するため、帳簿価額が50万円以上のものは、法人において不要となった場合は、県に返還する。
また、美術品については、帳簿価額が50万円未満のものであっても、法人の内部規程によって、処分に当たっては県への協議を必要とするなど、法人による自由な処分を制限することを想定している。
【委員】
地方独立行政法人化した場合に、今までの県直営の形態と異なり特色ある運営を考えていると思うが、どのような法人運営を目指すのか。
【理事者】
地方独立行政法人化の目的は、美術館が持つ貴重なコレクションや、広い敷地、建物空間などのポテンシャルを生かし、効果的な広報や戦略的な運営が可能となる体制を整備することである。本県の文化拠点施設としての存在感を高めることを目的としている。
法人においては、新たな会員制度の創設や外部資金の積極的な獲得など、自己収入の増加にも努めるが、美術館事業の基本である作品の収集、保管、展示、調査研究などは引き続き最も重要な業務である。そのため、地方独立行政法人愛知県美術館機構中期目標においても、作品の収集、保存・管理、展覧会などを通じた多様な鑑賞機会や、教育・普及活動の充実、調査研究の実施などを、法人が達成すべき具体的な目標として明記している。
地方独立行政法人制度の導入により、これまで以上に利用者層の拡大とにぎわいの創出を図り、社会の変化に機動的に対応できる運営体制を構築していく。
【委員】
最後に要望する。
今年度は国際芸術祭あいち2025が開催され、瀬戸市エリアにも多くの人が訪れた。愛知県陶磁美術館にも多くの人が訪れたと思うが、この流れをしっかりくんでほしい。愛知県の芸術文化を発展させていくには、3年後の国際芸術祭につなぐ意味でも、地方独立行政法人愛知県美術館機構が先頭に立つ必要があるので、大変期待している。ぜひ、よい企画を立て、全国から愛知県の美術を見に来てもらえるよう要望する。
請願関係
なし
一般質問
【委員】
私からは、国際芸術祭あいち2025について伺う。
本年9月13日に開幕した国際芸術祭あいち2025が、11月30日に閉幕した。79日間にわたる会期中、52万人余りの人々が来場した。

国際芸術祭あいち2025 閉幕
国際芸術祭あいち2025は、近年の戦争や環境などにより混沌とする情勢が続くこの世界で、フール・アル・カシミ芸術監督の掲げたテーマ「灰と薔薇のあいまに」は、リアル感が伴う意義深いものとなった。会期中、私も数回、3か所の会場である愛知芸術文化センター、愛知県陶磁美術館、瀬戸市へ赴いて鑑賞した。
また、会期後半の11月に入ってからは、私の周りで、どれぐらいの人たちが会場に訪れ、鑑賞したかとても興味が湧き、会う人に国際芸術祭の話題を出して聞いてみた。
しかし、なかなか行った人に会うことができず、行きそうな人にも電話した。行った人から話を聞くと、とてもよかったといっていた。
行っていない人にも聞き、あいちトリエンナーレ2019の問題が騒ぎになったことや、その3年後に名称が国際芸術祭あいちに変わって、一宮市が会場になったことを認識している人は多かったが、今年も開催していたことを知らない人が多かったことがとても印象的であった。
その中で、今回は行かないのか聞いたところ、現代アートはなかなか難しい、理解しにくいという。前回、一宮市で開催されたため、現代アートがこのようなものだという認識はあるが、今回も行こうと思わない人が多かった印象を受けた。これは、国際芸術祭自体が、興味が湧いて足を運んだ人たちの気持ちをつかみ取れなかったのではないかと思う。
そもそも現代アートにおいては、アーティストの意図を読み解くことが作品の魅力を最大限まで引き出す鍵となる。現代アートを制作するアーティストの多くは、社会や文化、政治などをテーマとして、作品を通じて鑑賞する人々にメッセージを伝えようとしている。
そのため、アーティストのバックグラウンドや制作意図を理解することで作品の見え方が変わってくると思う。アーティストについて学び、アーティストの立場になって作品と向き合うことで、現代アートの鑑賞体験が一層深まる。また、現代アートの感じ方や受け取り方は、鑑賞する人の知識や感受性により差が出てくると思われ、来場者に向けての事前の広報や展覧会場での作品の見せ方は、作品の鑑賞において大変重要な観点だと思う。
国際芸術祭あいち2025の来場者が作品に対する理解度を深めるために、県はどのような取組を行ったのか。
【理事者】
今回の国際芸術祭あいち2025では、作品に対する理解を深めるための様々なプログラムを実施した。
具体的には、作品鑑賞ツアーとして、ボランティアによる一般向けの対話型鑑賞ツアーを実施するとともに、子ども向けの対話型鑑賞ツアーや中高生向きの作品解説ツアーも実施した。
また、学校向けのプログラムでは、学校団体鑑賞プログラムを実施し、小学校から大学までを対象に、33校の延べ1,738人に作品鑑賞ツアーを実施するとともに、アーティスト派遣を行い、2人のアーティストを瀬戸市内の小学校、保育園及び愛知県児童総合センターへ派遣し、ワークショップなどを実施した。
また、国際芸術祭あいち2025に関連するトークイベントやディスカッションをラーニング・ラーニングとして合計7回実施するとともに、愛知芸術文化センター8階に設けたラーニングセンターにおいて、国際芸術祭あいち2025の関係者によるトークイベントを会期中に合計5回実施した。
さらに、視聴障害者や子ども連れなど、様々な人々を対象にしてツアーや鑑賞サポートを行うとともに、子どもなどを対象としたやさしい日本語のチラシを作成し、県内の全小学校の児童に配布するなどの取組を実施した。
【委員】
本年10月に実施した当委員会の県内調査で、国際芸術祭あいち2025の会場を巡回した。その際、各会場で担当学芸員の丁寧な説明を受けながら作品を鑑賞した。ストレスなく作品の理解がスムーズにでき、有意義な鑑賞だったというイメージが残っている。
そのストレスとは何かを後で考えてみると、例えば作品を見て、これは何かという理解ができないときに、作品脇の解説文を読む。多くの人がその場所で解説文を読むため、混雑したり、解説文が長かったり、文字が小さかったりすると、ストレスとなる。私は読まずに、そのまま通り過ぎることが多い。
先ほど、一般向けや子ども向け、障害者向けの鑑賞ツアーも実施していると答弁があったが、多くの人々に享受してもらうことは、なかなか難しい。そこで助けてくれるのは、デジタルの力、AIの力だと思う。今回の国際芸術祭あいち2025でも、作品の近くにはQRコードがあり、それを読み取って解説を見ることができた。
できるならば、来場者のスマートフォンに国際芸術祭あいちのアプリを事前に入れ、そのアプリで作品を鑑賞するのはどうか。見たい作品の前へ行くと、自然にイヤホンから説明が流れてきたり、AIと対話型鑑賞ツアーが個人的にできたり、とても興味深いものになると思う。
鑑賞者一人一人が感じること、聞きたいことは様々である。返答は解説者の力量の個人差もなく、また、AIがどのような返答をしてくるかも面白いと思う。一度、このようなことを検討するよう要望する。
国際芸術祭あいち2025には、52万人余りの人が来場したとのことだが、この数が主催者側にとって満足いくものだったのかは別として、国際芸術祭あいちの成功、失敗を表す一つの指標として考えると、この数字は伸ばしていかなくてはならない。国際芸術祭あいちは国内外への発信をしているが、今回、海外からの来場については、どのような状況だったのか。
【理事者】
海外からの来場者の状況について、現在、来場者アンケートに基づく、来場者全体に占める海外からの来場者比率については集計中である。ただ、電子チケットを購入した際に日本語以外の選択をした人が全体の4パーセントを占めており、これは従来の来場者アンケートの比率と比べると、2倍程度高い数値となっている。
また、国際芸術祭あいち2025の大林剛郎会長、フール・アル・カシミ芸術監督が世界的なネットワークを持っており、今回はそういったネットワークも活用しながら、海外から芸術祭や美術館のアート関係者が多数来場している。
具体的には、フール・アル・カシミ芸術監督が会長を務める国際ビエンナーレ協会の理事会メンバー、また、フランスのジョルジュ・ポンピドゥー国立芸術文化センターやシンガポール美術館のキュレーターなど、延べ300人を超えるアート関係者をゲストとして受け入れている。
加えて、海外への情報発信にも力を入れており、海外から延べ80人を超える記者が国際芸術祭あいち2025の取材に訪れている。
こうした海外とのネットワークは、貴重な成果、財産であり、今回できた関係性を今後も大事に保ちながら、次回以降の国際芸術祭あいちにおいても、引き続き生かしていきたい。
【委員】
海外とのパイプがとても太くなったとのことで、これからも期待する。
最初に述べたとおり、知り合いに個人的に調査して、なかなか寂しいものがあったが、現在の社会を見ても、情報の伝わり方はここ数年で目まぐるしく変わっている。私の知り合いでも、新聞を取らない家庭や、テレビを見ない家庭も増えている。それに代わるのがスマートフォンであり、今やスマートフォンをデバイスとした情報の流れが主流である。それは当然、全世界にもつながっており、スピード感があり情報が多岐にわたる、大変重要なツールになっている。
国際芸術祭あいちという一つのコンテンツで、そのツールを利用して発信していくのも、大事なことだと思う。国際芸術祭あいちにおいて、このツールを利用していろいろ開拓できれば、ほかにもこうしたツールを利用できるあかしとなるため、現代美術における情報の流し方を考え、もっと来場者数を伸ばしてもらえるよう期待する。
次回の3年後の国際芸術祭あいちが素晴らしいものになるように祈念して、質問を終わる。
【委員】
私からはNPO支援の在り方について、資金と人に焦点を当てて質問する。
本県では、現在約2,000のNPOが活動している。これらのNPOは、子ども・若者支援や、教育、福祉、防災、環境、文化、スポーツ振興など、行政だけでは対応できない公益性、公共性の高い幅広い分野で、地域に根差し、住民に寄り添ったきめ細かな取組を行っている。NPOは行政を補完する公共の担い手として、地域の安全と住民の暮らし、まちの発展を支える必要不可欠な存在である。
一方で、NPOは非営利であり、そして自立自走で自主的に運営しているため、多くの団体が慢性的な資金不足と、人材確保、事業継続、後継者不足といった課題を抱えているのも事実である。
そうした中で、私は本年9月定例議会の一般質問において、ふるさと納税制度を活用して、NPOや学校など公益性、公共性を有する団体を直接支援できる、団体応援型ふるさと納税制度を提案した。これはふるさと納税制度を活用して、あらかじめ自治体が登録したNPOなどの団体を選び、寄附ができる仕組みで、2015年に佐賀県が始めたのをきっかけに全国に広がりつつある。
この制度は、納税者が自分の納める税金の使い道として、共感できるNPO等を選択して寄附することで、NPOの資金確保だけでなく、住民とNPO、行政を結び、住民自治を育む、社会問題を解決する、新しい形の自治のプラットフォームになると私は考えている。
県として、NPOの資金不足の課題に対してどのように捉えているのか。そして、NPOを指定して寄附できる団体応援型ふるさと納税制度を本県に導入することが可能か、他の都道府県の状況も含めて伺う。
【理事者】
本県では、NPOの資金調達力を高める必要があると考えており、毎年度、NPO資金獲得セミナーを開催している。昨年度から遠方の人でも気軽に参加できるよう、オンライン開催に切り替えた結果、全国から100人を超える人々が参加している。
本セミナーで紹介した資金調達の事例は、愛知県のNPOにとどまらず、昨年度は三重県、本年度は茨城県、長野県、静岡県のNPOが登壇し、様々な経験やノウハウを参加者と共有することができた。
また、ふるさと納税制度に関しては、団体応援型ふるさと納税制度を導入している都道府県が神奈川県、京都府をはじめ7府県あり、仕組みとしては、愛知県においても導入可能である。
【委員】
資金調達についてセミナー等を実施しており、団体応援型ふるさと納税制度は7府県が既に導入しているとのことであった。都道府県でいうと7府県であるが、ほかにも政令指定都市や一般市が行っており、この制度は全国で広がりつつある。
納めている税金が何に使われているか、納税者自身が分からないことが多いが、納税者が自分の納める税金の使い道を選び、使い道としてNPO等に寄附ができる仕組みをつくることで、頑張る人を直接応援しつつ、税金が人や社会の役に立つことがリアルに実感でき、住民自治や納税者意識を育むことができる。NPO側にしても、資金が調達できるため、活動が活発になるとともに、活動する人たちの意欲が高まるといったメリットがある。
そして、NPOの活動が活発になることで、社会問題が解決でき、地域の活性化、地域の安全や住民の暮らしの向上など、まちの発展につながる。
そして、本来行政が担うべき公益性や公共性をNPOが担うため、財政的負担が軽減できることも含めて、行政にもメリットがある。
つまり、納税者、NPO、行政の三方それぞれにメリットがある。そして、社会貢献性、参加性が高い仕組みになると思っている。
団体応援型ふるさと納税制度を導入するには、基金の設置が必要だと思うが、本県において団体応援型ふるさと納税制度の導入について、効果や課題も含めてどのように考えているか。
【理事者】
団体応援型ふるさと納税制度を導入する効果としては、寄附者が税額控除を受けられることで、NPOへの寄附額が増える可能性があることである。寄附した際の控除額の上限は、住民税の税額の2割が目安とされていることから、この2割の範囲内であれば、寄附額から2,000円を差し引いた額が翌年度の住民税から控除されることになる。
一方、団体応援型ふるさと納税制度を導入するには、先ほど委員が述べたとおり、寄附金の受皿となる基金を設置する必要がある。
本県では、愛知万博の剰余金をNPO支援に活用するため、2007年8月に公益信託愛・地球博開催地域社会貢献活動基金、通称あいちモリコロ基金を設置して助成を行い、助成終了に伴い、2019年3月に基金を廃止している。
廃止に当たっては、その後のNPO施策の在り方を検討するための会議を設置し、2年にわたって議論をして提言にまとめており、現在はこの提言に沿って、新たな基金は設置しない形でNPO支援事業を展開している。
こうした本県の実情を踏まえながら、今後は他県の動向などを注視していきたい。
【委員】
効果は答弁にあったとおりで、自分の財布から数万円出すのは難しいかもしれないが、仮に上限の範囲内で5万円寄附したとすれば、本人は2,000円の負担で済む。2,000円の負担で5万円の寄附ができ、活動してもらえることが一つの効果だと思う。
あいちモリコロ基金の話があったが、あいちモリコロ基金は、余剰金を万博の理念に沿った形で使うための基金で、それがある程度使い終わり、決してNPOの資金が充足したといったものではないと思う。
愛知県では、既に11の基金を設置してふるさと納税制度の受皿としており、私は基金そのものを設置するハードルは高くないと思っている。
ただ、基金の設置に当たり、約2,000あるNPO全部を支援するのか、認定のハードルを上げるのか、幅を広げて市民活動団体も支援するのかといった問題がある。寄附額についても、全額なのか、8割程度にするのかといった割合の問題もあり、やり方はこれから議論する中で考えてほしい。
繰り返しになるが、寄附金が集まることで、NPO活動が活発になり、まちがよくなる。そして、このような制度をつくることで、愛知県で活動しようと、いろいろなNPOが本県に来る可能性がある。
NPOに所属しているのは、すごく意欲がある人ばかりで、そのような人が集積するところには社会課題を解決しようとイノベーションが起こるかもしれないし、少し系統は違うが、本県にはスタートアップ拠点がある。私は、スタートアップとNPOには親和性があり、相乗効果が生まれる可能性があると思っているため、ぜひ検討してほしい。
また、本県は返礼品を行っていない。だからこそ、NPOに共感から寄附をしてもらい、社会活動をして還元するといった、共感で選んでもらえるふるさと納税制度とすることで、愛知県の価値がより高められると思う。いろいろな課題があるとは思うが、私はこれを行うメリットはあっても、デメリットは全くないと思っているので、前向きに検討してほしい。
次に、人材確保や事業継続、後継者問題について質問する。
少し古いデータになるが、内閣府が2019年3月に発表した特定非営利活動法人における世代交代とサービスの継続性への影響に関する調査によると、NPOの代表者の6割が65歳以上というデータがある。さらには、いずれ代表を交代すると回答したNPOのうち6割が、準備があまり進んでいないと回答しており、NPOの後継者不足が深刻になりつつあることがうかがえる。
この傾向は、県内のNPOも同様だと思っている。県として、NPOのこうした人材確保、事業継続、後継者不足の課題をどのように捉えているのか。そして、県としてはどのような施策を行っているのか。
【理事者】
NPO活動を次世代につなげていくためには、将来を担う若者に活動の意義を理解してもらい、社会課題に対する意識を高めてもらうことが重要であると考える。このため、本県では、次世代の新たな担い手の育成を目的に、本年度からの新規事業として、若者力によるNPOと企業の協働促進事業を実施している。
この事業は、大学生とNPOがチームを組み、協賛企業と連携、協働する企画をつくり、その内容を発表するものである。
具体的には、あらかじめ県が協賛企業からNPOと連携、協働したい内容、ミッションを聞き取り、そのミッションに答えられそうなNPOに声をかけ、県内の大学から公募した学生とチームを組んで企画を練り上げていく。
企画の策定過程では、チームごとにプレゼンテーション研修を行って支援する。その後、来年1月に開催するNPOと企業の協働アワードにおいて各チームが企画を発表し、県民の投票と審査員の裁定に基づき、企業から協賛金が授与される。
こうした取組により、大学生にNPO活動に関心を持ってもらうとともに、将来のNPOの人材確保につなげていきたい。
【委員】
大学生とNPOがチームを組んで企業に提案するのはあまり聞いたことがなく、ほかに例がない事業だと思う。興味深い取組だと思った。
また、企業からの協賛金が事業の経費ではなく、賞金として大学生とNPOに授与される仕組みも、参加者の励みとなり、NPOの活動支援にもなる寄附に通じるものがあると思う。
具体的な事業の中身について詳しく聞くが、提案を受ける協賛企業はどのような企業か、大学生と協働するNPOはどのような団体で、どのような大学生が参加しているのか。
【理事者】
本年度の協賛企業は、県内に本社を置く住友理工株式会社と日本メナード化粧品株式会社の2社である。
住友理工株式会社からは、小牧製作所の近隣で社員が家族を連れて参加できるプログラムを提供してほしい、日本メナード化粧品株式会社からは、化粧品を通じて人々の幸福感を高め、化粧品の社会的意義を広めるプログラムを提供してほしいというミッションが提供されている。そのため、参加NPOはそれぞれのミッションに応えることができる団体としている。
個別に述べると、住友理工株式会社に対しては、春日井市で子育て支援のネットワークづくりをしているNPO法人あいちかすがいっこ、犬山市で多文化共生のための学習支援と農園やカフェの運営をしているNPO法人シェイクハンズの2団体が参加し、日本メナード化粧品株式会社に対しては、高齢者にメイクをすることで元気や癒やしを提供しているNPO法人シニアメイクセラピー協会、がん患者への美容サポートなどを実践しているNPO法人全国福祉理美容師養成協会の2団体が参加している。
大学生については、名古屋大学、愛知教育大学、南山大学、椙山女学園大学などの学生が手を挙げており、自らプレゼンテーションの役を買って出るなど、それぞれが意欲を持って主体的に関わっている。
【委員】
具体的な答弁で、よりイメージを膨らませることができた。
これから社会に出る大学生が企業の社会貢献や、企業と連携するNPOの活動を見て学ぶ経験は、座学では得られないかけがえのない経験になると思う。この取組に参加する学生たちの新たな気づきや学び、夢や意欲を生み出すことにつながることを期待したい。
また、協賛企業のニーズに対応できそうなNPOに絞って声をかけていること、さらには大学生がNPOと企業との橋渡しをするなど、NPOと企業の協働を実現するために思いや工夫がある点もよいと思う。
この事業は、大学生にも、NPOにも、そして協賛企業にもそれぞれメリットがある。三方よしの取組だと思っているため、これからどんな成果が出るか楽しみにしている。
今答弁があった、大学生とNPOの4チームからは、実際にどのような企画提案が出される見通しか。また、NPOと企業の協働アワードの後、各チームから出された企画提案は、どのように展開していくのか。来年度に向けた抱負も含めて伺う。
【理事者】
現在は、NPOと企業の協働アワードに向けて、各チームが企画提案の内容をブラッシュアップしている段階である。
本年10月から11月に行った中間報告会では、地域と企業が交流できる機会の創出や、世代を超えたメイク教室の開催など、協賛企業から提出されたミッションの達成に向け、具体的なプランを検討しているとのことだった。
今後については、来年1月のアワード開催後に各チームと協賛企業が顔合わせを行い、提案の実施に向けた協議を進める。
本県としては、協賛企業の協力を得ながら、次年度以降も各チームを伴走支援していくことで、それぞれの企画提案が実現できるよう後押しをしていく。
【委員】
それぞれ興味深い内容であり、これらの提案や取組が実を結ぶことを期待している。
この活動を通じて大学生がすぐに後継者にというわけにはいかないが、それでも学生にとって、NPOや志ある企業とつながり、実際に活動に触れられる場があること自体が貴重な機会だと思う。
こうした経験は学生一人一人の誇りや自信を育むとともに、次なる夢や意欲を呼び起こし、NPOが若者の可能性を切り開いて自己実現や社会貢献ができる場であると、少なくとも学生はそう感じると思っている。それが長期的に見て、今後のNPO活動への参加や興味につながっていく、後継者になるなど、将来を担ってもらえたらと思う。
そして、NPOにとっても、強みを生かした活動ばかりではなく、企業と連携することで新しいつながりや可能性が生まれ、若い人材とつながることができる。企業にとっても、CSRの取組になり、企業価値やPR、そして人材確保にもつながるメリットがある。まさに三方にとってよい事業だと思うし、そうした事業にしてほしい。
ただ、これは中長期的な人材確保であり、短期的にも人材不足、事業継続、後継者不足の問題はあるため、短期的な取組にも力を入れてもらいたいと思っている。
最後になるが、NPOは行政や企業では担えない分野を埋める、社会にとっても必要不可欠なセクターであり、まちにとって貴重な資源、財産である。NPO活動が活発な地域は、意欲や活気に満ちあふれて、人やまちが明るく元気になり、そうした中で地域の未来がつくられていくものだと思っている。
そうした意味でも、NPO支援は地域の未来への投資だと思っている。ぜひとも資金と人への支援をはじめ、NPO支援の充実を要望する。
【委員】
私からは、災害時における愛知県災害多言語支援センターについて質問する。
質問に先立ち、本日未明に震度6強を観測した青森県東方沖地震について、被災した人々においては、一日も早い復興を祈念するばかりである。
まず、防災・減災のための多言語支援の手引き2023を基に確認する。愛知県災害多言語支援センターの主な機能は、まず一つ目に情報収集、二つ目に多言語情報発信、三つ目に被災者のニーズ把握、ニーズを行政に伝達する機能であるが、間違いないか。
【理事者】
愛知県災害多言語支援センターについては、大規模災害発生時に被災外国人を言語面で支援するために設置するものであり、多言語による災害情報の提供と、避難所等で被災外国人の対応を直接行う市町村からの依頼に応じて、通訳、翻訳の支援を行うことを主な業務としている。
【委員】
愛知県災害多言語支援センターはどこに設置するのか。また、その情報発信の方法や手段、そして愛知県災害対策本部との関連性について伺う。
【理事者】
一つ目の愛知県災害多言語支援センターの設置場所については、県民文化局多文化共生推進室内と、公益財団法人愛知県国際交流協会内に設置する。
二つ目の発信の方法、手段については、あいち多文化共生ネットウェブサイトでの災害情報の発信を想定している。
また、三つ目の愛知県災害対策本部との関係性については、愛知県災害対策本部から情報を収集し、その情報を多言語で発信していくことを想定している。
【委員】
県内市町村の関係機関と連携強化をするための取組について、現在どういった状況で54市町村と連携しているか。
【理事者】
愛知県災害多言語支援センターについては、毎年、災害発生時を想定した設置運営訓練を実施しているが、今年度から防災安全局が実施する愛知県災害対策本部の運用訓練と同日に開催し、市や支援協力団体にも参加してもらうことで、より実態に即した訓練を実施するとともに、関係団体との連携強化に努めている。
また、2023年度からは、市町村との共催で災害時外国人支援活動講座を開催し、避難所運営講座や模擬避難所訓練を行っている。参加者からは、実際に日本語が通じない大変さが痛感できた、外国人とのワークショップは避難所でのやり取りのイメージにつながったといった意見があった。
なお、今年度は、2月に知多市と共催でこの講座を開催する予定である。
さらに、愛知県災害多言語支援センターの運営には、市町村だけではなく、地域の外国人コミュニティのキーパーソンとの連携、協力が不可欠であることから、本年7月に外国人キーパーソン8人を集めたタウンミーティングを開催し、防災に関する意見交換を行った。このミーティングでは、外国人にはどうすれば命を守れるかといった防災に関する知識が十分でない人が多く、地域からの情報を各国の言語で発信してほしいといった意見をもらった。
こうした取組に加えて、外国人団体、支援団体、行政機関との意見交換、情報共有も行っており、今後も継続して県内市町村はじめ関係団体との連携強化を図っていく。
【委員】
外国人被災者の情報を迅速かつ的確に収集して共有する仕組みの構築に向けた現状の検討状況を伺う。
【理事者】
愛知県災害多言語支援センターにおけるデジタルツールを活用した外国人被災者を支援するための情報収集、発信、共有の仕組み構築に向けて、本年度から外国人が多く居住する市や、外国人被災者支援の経験、知見を有するNPO等を構成員とする災害時外国人支援情報ネットワーク検討会議を設置して、様々な意見を聴取している。また、県外の被災自治体や、先進的な取組を行っている自治体、デジタルツールの活用事例についても、調査研究を行っている。
これまでの調査により、平時から防災情報を発信することが必要であること、外国人に情報を効果的に届けるためには、支援団体や外国人団体との連携をさらに強化する必要があること、市町村から愛知県災害多言語支援センターへの通訳、翻訳依頼等の迅速化を図る必要があることなどの課題が明らかになってきた。
今後は、調査結果を踏まえて、デジタルツールを活用した外国人被災者支援の仕組みについて、年度末までに基本方針を定める。この基本方針を基に、2026年度はデジタルツールの使用設計、2027年度は開発、実装を行って、外国人被災者支援の仕組みを構築して、運用していく。
【委員】
では、要望する。
愛知県における外国人住民総数は、2023年現在で30万人を超え、その人口動態の比率は4パーセントを超えており、多言語共生が必要な県である。
国の課題も多種多様であるが、教育、福祉、医療、防災については、しっかりと外国人と共に取り組んでいく必要がある。今日未明に青森県東方沖地震が発生したこともあり、その要として、今回は防災を取り上げた。
私は、12月定例議会の一般質問においても、99.7パーセントを占める中小企業の人々がいかに会社を災害時に早く立ち上げていくのか、サプライチェーンの再構築について質問した。
永住外国人は、県内のどこに何人いるか、例えば、ブラジル人は既に6万6,000人いて、ベトナム人は5万8,000人いるといった形で、おそらく各市町村は人口動態が統計上では分かっている。
一般質問の際に私の体験談を述べたが、帰れない、来られない前提の中で、本庁舎前の愛知県自治センター内に愛知県災害対策本部を設置することは、情報を集約でき、拡散の即時性があり、すごくよいことではある。
5年前に、自宅から10キロメートル以内の人は登庁し、そうでない人は各県民事務所に参集する訓練をしたと思う。しかし、実際にはとても登庁できない。私は、東日本大震災の発生時に人のあふれる道路を歩いて、どうにもならない状態を体験したが、とても登庁できないと思う。
そうすると、キーパーソンとなる人たちは、自宅など安全なところから情報発信ができる体制を構築することが肝要ではないか。登庁できない前提に基づかなければ、幾ら訓練をしても、残念ながら机上の空論にしかならないと思う。
地震発生時には愛知県災害対策本部を立ち上げるが、人口動態も既に分かっているのであれば、多くの外国人が住んでいるところにも拠点を置くことで、参集する人に負荷をかけずに防災活動ができると思う。各県民事務所があるため、少なくともその拠点は確保できる。
災害時に情報をより一層拡充するためには、本部だけではなく、震度によって各拠点も立ち上げることが重要である。今日発生した青森県東方沖地震は震度6強であった。地震の強度によって拠点を分散し、対応可能なネットワークを構築できるような仕組みづくりも令和8年度には検討してほしいと強く要望して終わる。
【委員】
愛知県立芸術大学について質問する。
愛知県立芸術大学は、来年で開学60年を迎える。

愛知県立芸術大学 60周年
今後、人口が減少し、学生の取り合いをしなければならない中で、今の愛知県立芸術大学キャンパスマスタープラン2021で県が進める方針が本当に大丈夫なのか、その点を踏まえて、質問をする。
まずは先ほども述べたが、来年で開学60周年ということは、建築をしてから60年がたった老朽化施設である。全て建替えられるかというと、建築家の吉村順三氏のすばらしい建設があるため、レガシーを守りながら、いかにきれいにしていくかという課題も抱えており、また、自然環境が豊かな土地で、様々な希少生物がたくさんいる。愛知県立芸術大学キャンパスマスタープラン2021のまま新しい施設を造っていけば、環境問題が起こり得る土地である。
まずは現状を知りたい。愛知県立芸術大学の入学志願者の状況はどうなっているのか。
【理事者】
今年度の愛知県立芸術大学の入学志願者の状況は、入学定員の5.6倍となっており、その内訳としては美術学部が9倍、音楽学部が2.3倍と、一定の志願者がいるものと認識している。
【委員】
美術学部の入学志願状況については良好と聞いているが、学部によっては定員割れが起きているとも聞いている。
該当する学部はどのくらいあるのか、なぜ定員割れが起きているのか。
【理事者】
愛知県立芸術大学の今年度の入学定員充足率は、美術学部が102パーセント、音楽学部が89パーセントとなっており、委員が述べたとおり、音楽学部では100パーセントを下回る状況となっている。
これは音楽学部において、そもそも合格者数が入学定員数を下回っているためであり、少子化と音楽人口の減少により音楽学部の志願者が減少傾向にある中で、演奏等の実技において一定のレベルを求める以上、やむを得ない状況である。
なお、大学では高校生へのワンポイントレッスン、弦楽合奏セミナーなど、新たな企画を実施するとともに、今後、入試方法の見直しや高校訪問の強化を図ることで、志願者獲得に努めていく。
【委員】
音楽学部は新音楽棟を造ったため、たくさん来てもらわなければいけない学部で定員割れが起きているのは、考えなければいけない一つの要素である。愛知県内で競争するのではなく、全国から人を集めなければいけない。他県の大学を調べてみると、例えば、公立大学の京都市立芸術大学、金沢美術工芸大学は、令和5年にキャンパスが移転され、私立大学の東京工芸大学厚木キャンパスは、令和5年に学生厚生施設の建替えがあった。
すると、学生はきれいな大学へ行きたいとなりかねない。当然、各県の人たちはそれを目安としている中で、今後、グランドビジョンをしっかり考えないと、古い建物だけが残ってしまうことに非常に危機感を感じている。
次に、愛知県立芸術大学の長寿命化の改修について、数点質問をしたい。
愛知県立芸術大学キャンパスマスタープラン2021には、建替え計画の記載があるが、建物内の電気やガスといったインフラ設備はどうなっているか。なぜこの質問をするかというと、私が二度愛知県立芸術大学に足を運んで話を聞いた際に、いずれも停電になった。そのような中で建替えを進めているといっても、停電になるようでは意味がない。恐らくWi-Fiも通っていないと思うが、その辺りも含めてどのような計画になっているのか。
【理事者】
本県では2021年3月に、2021年度から2033年度までを計画期間とする愛知県立芸術大学の県有施設における長寿命化計画を策定している。この計画は施設の老朽化の状況や、教育研究活動への影響、事業費の平準化等を総合的に勘案し、改修の内容や実施時期を段階的に整理したものである。
2021年度に実施した芸術大学の長寿命化改修の基本設計においては、電気及びガス等のインフラ設備についても更新の必要性を検討しており、改修工事の際に必要に応じて更新を行っている。電気工事は、施工から30年を経過している設備を更新する方針としており、また、ガス設備は、施工年代の古い美術系校舎において都市ガス化を進めている。
今後も、建物や設備の老朽化状況を踏まえつつ、長寿命化改修と併せてインフラ設備の更新を適宜進めていく。
【委員】
一度現場に行ってほしい。
例えば、彫刻や日本画に取り組む人は、室内に籠もりきりで描いたり彫ったりしている。冷房が止まってしまうと、夏は熱中症になってしまう。
Wi-Fi環境の整備状況はどうなっているか。
【理事者】
Wi-Fi環境については、後ほど確認して回答する。
【委員】
第3次計画まではWi-Fi環境は整備していないと思う。本当に学生を呼ぶならば、やはりWi-Fi環境は整備しなければならない。
予算についても聞きたいが、予算の推移はどうなっているのか。
【理事者】
本県では愛知県立芸術大学の県有施設における長寿命化計画に基づき、2022年度以降、対象となる建物の改修工事等を10期に分割して実施しており、必要な経費について毎年度、適切に予算措置を講じている。
予算の推移については、第1期の始まった2022年度が9,050万円、2023年度が5億7,600万円、2024年度が14億8,048万7,000円、2025年度が21億8,566万1,000円となっている。
今後も、大学と連携しながら、教育研究環境の維持向上に向けて、計画的な予算管理に努めていく。
【委員】
今答弁にあったように、2022年の予算が9,000万円で、年度を重ねるごとに5億円、14億円、21億円と増えている。それは喜ばしいことであり、新しいものを造っているから予算が増えているのは分かるが、もう少し学生の身の回りに対する予算づけを外付けでしてほしい。
例えば、女子トイレにいまだに和式トイレがある。和式トイレが決して悪いとはいわないが、今の時代に和式トイレで、多くの女性が愛知県立芸術大学へ行きたいと、オープンキャンパスを実施したときに思ってもらえるかというと、なかなか難しいと思う。
さらにいうと、オープンキャンパスで多くの人たちに見てもらい、この大学を選びたいと思ってもらえるように、大きな計画ではなく、まずは小さな日常の施設整備を併せて進めていかなければならないと思うので、そのことを要望し、次の質問に移る。
次に、2021年度のキャンパスの改修計画を見ると、食堂がある大学会館の改修が予定されているが、この間に学生はどこで食事をするのか。
【理事者】
委員が述べたとおり、大学会館の長寿命化改修により、2027年5月から2028年2月頃までの約10か月間、食堂の利用ができなくなるため、学生に対して食事の提供や、食堂に代わる食事場所の提供をする必要がある。
食事の提供については、現在、食堂、購買を運営している生協と連携して、大学会館の工事期間中、弁当の販売を拡充する予定である。
また、食事場所の不足への対応であるが、大学会館の工事期間中は、講義棟内の一部の部屋を昼休みに臨時開放し、飲食可能なスペースとして利用できるようにする予定である。
こうした取組により、大学会館の工事期間中においても、学生が安心して食事ができるよう、大学等と連携して取り組んでいく。
【委員】
そこが危惧している部分である。大学内を視察したときに、午後3時や午後4時頃には食堂が閉まっており、横に長久手市商工会のキッチンカーがある状況だった。
食べる楽しみは、特に根を詰めているほど、コーヒーを飲んだり、喫茶で気持ちを緩やかにしたりすることが大事であるが、工事期間中の昼休みに講義棟内の部屋を飲食スペースとして提供するということは、昼休み以外はその部屋を閉めてしまうことになり、それは大学外に出て食べてほしいという話になってしまう。
24時間とはいわないが、学生がいる時間は部屋を開放し、いつでも食事が食べられるような状況をつくることが学生を呼ぶ一つの手段になると思うため、検討してほしい。
次に、大学会館の次は2027年が閲覧室棟、2029年からは書庫棟、2030年からは新書庫棟の長寿命化改修工事がそれぞれ2年にわたって行われる予定と聞いている。これらの棟は図書機能を有し、学生は図書館で様々な美術資料を見るのが務めだと思うが、改修中に図書機能の代替はどの施設で行うのか。
【理事者】
図書館の機能については、工事期間中もサービスが継続できるよう、閲覧室棟をはじめ3棟の機能をそれぞれの工事期間中、旧音楽学部棟に移す方向で大学と調整を進めている。
また、工事期間をできる限り短縮できるよう、書庫棟及び新書庫棟の改修工事を2029年度から2030年度にかけて、まとめて行うことも検討している。
本県としては、教育研究活動への影響が最小限となるよう、引き続き大学と調整していく。
【委員】
特に図書館は、学生のシンクタンクであり、様々なイマジネーションが湧く元であるため、しっかりと進めてもらいたい。
図書費が少ないと聞いたことがある。分からなければまた後で教えてほしいが、図書費の推移はどうなっているか。
【理事者】
図書費の推移については、手元に資料がないため、後ほど説明する。
【委員】
少ないようであれば、検討してほしい。
次に、奏楽堂について伺う。
奏楽堂は大きなホールであり、人を呼んで演奏会を開催し、授業でも使う施設である。これも老朽化しており、私が視察したときには壁面タイルが落下し、レンガが舞台に落ち、舞台の一部が使用できない状態の中で、赤いコーンが立ち、ネットをかぶせ、そこを除いていろいろな催しをしていたが、今はどのような状況で、今後どうしていくのか。
【理事者】
奏楽堂のステージ壁面について、今年5月にタイル落下が起きた。原因は、経年劣化によりタイルの端のモルタルが剝がれたことによるものであり、緊急的な対応として、打診検査にて下地との密着性を確認し、落下の危険性のあるタイルについては撤去を行った。その後、ステージ壁面にタイル剥落防護ネットを設置しており、安全に配慮しながら使用できる状態となっている。
【委員】
確認であるが、奏楽堂は2021年に非構造部材の耐震改修をしたと記憶しているが、どうか。
【理事者】
その点についても今確定的に述べられないため、後ほど説明する。
【委員】
もし耐震改修をしていれば、誰かしらに責任がある話になり、なぜそのようになったのかという話になる。たまたま学生に当たらずに済んだものの、当たってもおかしくない位置だったため、2021年に本当に耐震改修をしたか聞かせてほしい。今後、2028年に奏楽堂の改修工事が始まり、奏楽堂は使えなくなるが、代替機能についてどのように考えているのか。
【理事者】
奏楽堂の長寿命化改修工事については、2028年度から2029年度にかけて実施する予定であり、工事期間中に教育活動を問題なく継続できるよう、別の建物に機能の一部を移して運用する方向で大学と調整している。
今後も、大学と連携しながら計画的な施設管理に努めていく。
【委員】
別の建物とは、どこか。
【理事者】
現在、大学と調整しており、敷地内の建物に一時的に機能の一部を移して運用する方向で検討している。
【委員】
どの施設をどこへ移動し、この間に何をするかも含めての愛知県立芸術大学キャンパスマスタープランだと思う。場当たり的に次から次に進めてしまえば、一つ一つがおかしくなり、先ほど答弁にあった食堂のように講義棟を使わなければいけなくなる。
トータル的に見て、改修工事中でも学生に愛知県立芸術大学がよいと思ってもらえる見せ方があると思うため、しっかりと考えてもらいたい。
今後、愛知県立芸術大学キャンパスマスタープランを進めていくと、例えば、新音楽棟の北側に管打棟の建設を集めて、音楽棟は音楽棟周辺にいろいろな施設を集めようという思いもあり、予定を見ると第二奏楽堂を造る予定もあるが、中には緑の濃いところに立地が予定されている施設もある。
新音楽棟を造ったときでも名古屋の環境団体の人たちが来て、私も湿地帯を一日かけて一緒に歩いたが、最終的には、当時予定していた工法とは違う工法で県は造っていると思う。新しい計画どおり、自然がある場所に何かを建てようとすれば、また同じことが起こると思うが、計画と現実との整合性についてはどう考えているのか。
【理事者】
愛知県立芸術大学では、施設の具体的な整備方法や整備順序等をまとめた愛知県立芸術大学キャンパスマスタープランを策定しており、価値あるキャンパスや建物群の在り方を継承することとし、キャンパスのコア、中心部分を形成する建物群は改修を原則とし、機能や面積が不足する場合は、キャンパスの景観と自然環境に配慮した上で建築等をする方針が示されている。
県としては、現在のところ、自然環境への配慮が必要なエリアでの建替え計画は予定していないが、将来、整備することになった場合には、現地調査を実施した上で、環境配慮対策を実施しながら、建設工事を進めていく。
今後も芸術大学の施設整備については、長寿命化計画を基本としつつ、豊かな自然環境の中に立地している意義を踏まえ、教育研究環境の充実に努めていく。
【委員】
実は今、モリコロパークの北側に第2駐車場を造ろうと、県は様々な取組をしている。しかし、環境影響評価によると、その駐車場予定地の真ん中が環境に影響があるそうで、駐車場の形態も変わりつつある。だから、建設工事の際に環境影響評価をするのではなく、早め早めにやらなければ、全ての計画が違ってきてしまう。
特に、あの辺りは有名な湿地地帯のため、自然環境を守りながら、学生に来てもらえるような施設を造ってほしい。
一点気になるのは、グラウンドがずっと使えない状態のまま放置されている。愛知県立芸術大学キャンパスマスタープラン2021の中にも、グラウンドの改修計画は入っていない。
グラウンドはあのまま放置された状態なのか、今後また考えていくのかについて、分かる範囲で教えてほしい。
【理事者】
長寿命化改修計画はあくまで施設関係の計画のため、グラウンドについては計画に定められていないと思うが、後ほど確認して説明する。
【委員】
おそらく計画から漏れていたと思うので、しっかりと入れ込みながら、また考えておいてほしい。キャンパスはあってもグラウンドがないのもどうかと思うため、計画をまたグレードアップしてもらえればと思う。
最後になるが、来年度、開学60周年を迎えるため、夢ある話として聞かせてほしいが、この節目に何か取組を行う予定でいるのか。
【理事者】
来年度の開学60周年に向けて、現在、大学で60周年イベントの準備を進めている。
具体的には、美術学部においては、より多くの人に鑑賞してもらえる機会とするため、例年、大学の構内で開催している教員展を、2026年10月末に愛知県美術館で第50回美術学部教員展として開催する予定である。
音楽学部については、10月上旬に愛知県芸術劇場コンサートホールで予定されている第59回音楽学部定期演奏会にて、60周年記念事業として特別演目を行う予定である。
さらに、8月に三井住友海上しらかわホールにて実施予定の卒業生と教員による合同弦楽オーケストラ特別演奏会など、60周年に合わせた記念イベントを計画している。
加えて、再来年は愛知県立大学の前身となる愛知県立女子専門学校が開校してから80周年を迎えることから、両大学で統一感のある周年ロゴも制作しており、こうした取組を通じて、愛知県立芸術大学の開学60周年の盛り上げを図っていく。
【委員】
最後になるが、とにかく学生に来てもらい、活性化するのが大学だと思うので、もう一度県の中で熟慮を重ね、本当にこれでよいのかも踏まえて、一つ一つ積算をしながら、最終的に魅力ある大学につくり変えてもらいたい。せっかく60周年を迎えるので、県内だけではなく、県外も含めて他の公立大学や美術大学に負けない発信等をしてほしい。もっといえば、多くの人に見てもらえるため、リニモのラッピングも愛知県立芸術大学の人たちに作ってもらえばよいのではないか。
そのようなことも踏まえて、身内だけで集まるのではなく、外に向けていく意味では、あいちトリエンナーレと同様に、愛知県立芸術大学の人たちが国際芸術祭に絡んでもよかったと思う。
あの手この手を使って、60年前の開学当時のように、多くの人たちに行きたいと思ってもらえるような大学づくりを強く要望し、質問を終える。





