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病害虫図鑑 アブラムシ類(カンキツ)

ページID:0271864 掲載日:2020年4月1日更新 印刷ページ表示

1 加害する種類と被害の様子
ミカンクロアブラムシ
学名 Toxoptera citricida Kirkaldy
黒色で体長3mm程の大型のアブラムシ。若枝に集まって寄生する。集団で寄生することにより、葉がしおれ枝が萎縮する。樹全体に多数寄生すると幼木や若木の場合生長に支障を来す。幼果への集中寄生により落果することがある。排泄物がすす病を引き起こす。ハッサクやナツミカンの萎縮病をおこすトリステザウイルスを伝搬するとされる。

ミカンミドリアブラムシ(ユキヤナギアブラムシ)
学名 Aphis spiraecola Patch
艶のない濃い緑色で、体長2.5mm程の中型のアブラムシ。コロニーの大きさはミカンクロアブラムシに比べてやや小さい。主に若葉の葉裏に寄生して、葉裏を中にして横に巻く。ミカンクロアブラムシと同様に多数の寄生により生長を阻害したり、すす病を起こしたりする。

ワタアブラムシ
学名 Aphis gossypii Glover
黄白色から濃緑色まで色彩の変異が大きい。中~小型。葉を巻くことはない。

2 生態
ミカンクロアブラムシ:暖かいカンキツ園内やその周辺の山林で越冬する。有翅雌の出現で発生が始まり、これが無翅雌を産み急激に増殖する。4月頃から増え始めて5月から10月頃多発する。梅雨期及び盛夏にはやや少なくなる。有翅雌が出現した後、無翅雌が生まれ増殖してから被害が出るため、初発生から被害が出るまでに1世代分の時間がかかる。薬剤による防除の効果は高い。

ミカンミドリアブラムシ:本種は落葉果樹にも寄生するが、カンキツにつくものと系統が違っている。卵で越冬し、越冬卵から発生した有翅雌成虫が新葉に飛来して子虫を産み出す。子虫が無翅成虫となり急激に増えと同時に被害が出る。ミカンクロアブラムシに比べて初発生から被害が出るまでの間隔が短い。一般に春枝での発生より夏枝や秋枝での被害が多いが、6月頃出てくる不定期若芽で多発することも多い。盛夏期にはやや減少気味になるが、秋期に再び増加する。薬剤感受性が低いうえ、葉を巻くために薬剤がかかりにくく防除効果をさらに低くしている。

ワタアブラムシ:寄主範囲は極めて広い。薬剤抵抗性の発達が著しい。

3 発生しやすい条件
 やや乾燥した気候で発生が多くなる。ダラダラと不定期に新梢が発生すると多くなる。

4 防除対策
 寄生しているアブラムシの種類により薬剤感受性が異なるうえ、被害の出るまでの期間も違うので、どの種類のアブラムシか、区別する必要がある。

 ミカンクロアブラムシは有翅虫が幼虫を産み始めた頃が防除適期。他の害虫との同時防除をする。

 ミカンミドリアブラムシは浸透移行性の高い薬剤を選択する。有翅虫が見え始めた頃が防除適期。
 
 ワタアブラムシは、薬剤の効果低下が早いので、日頃の薬剤防除の際の効果を確認していおて効果の確認された薬剤を使用する。秋期の発生が多いが、秋枝を使って生長させる場合を除いて、防除の必要度は高くない。