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果皮が黄緑色で皮ごと食べられる イチジク新品種を開発しました ~本県初のイチジクオリジナル品種です~
愛知県におけるイチジク栽培は西三河地域を中心に、盛んに行われており、栽培面積(※1)、産出額(※2)が共に全国1位を誇っています。
愛知県農業総合試験場(以下、「農総試」という。)は、イチジク新品種「愛知イチジク1号」を開発し、2025年8月7日(木曜日)に種苗法に基づく品種登録出願を行いましたのでお知らせします。
本品種は県内で最も多く栽培されている果皮色が赤色の「桝井(ますい)ドーフィン」よりも甘味が強く、皮ごと食べることができるため、新たな消費を喚起し、生産者の収益向上が期待できます。さらに、新品種は近年の高温乾燥や急激な降雨といった気象条件でも、収穫ロスが少ないため、安定生産に寄与することができます。
※1 出展:農林水産省 特産果樹生産動態等調査(2022年)
※2 出展:農林水産省 生産農業所得統計(2023年)
1 新品種の特徴
・果皮色は鮮やかな黄緑色で、皮ごと食べることができます。強い日差しを浴びるとハト目(※3)周辺にほんのり赤みが差すことがあります。
・既存品種の「桝井ドーフィン」と比べて果実はやや小ぶりですが、糖度が高く、食味の良い品種です。
・露地栽培において、「桝井ドーフィン」より数日遅い8月中旬頃から収穫できます。
・葉は小さく細く、葉と果実の擦れが少ないことから、果実を成らせる枝数を「桝井ドーフィン」よりも多く配置することができます。
・高温乾燥や急激な降雨による果実品質への影響が小さく、虫害にも強く、露地栽培でも安定的に収穫することができます。
※3 ハト目:イチジクの果頂部の開口する部分を指します。
2 開発の経緯
全国トップクラスの本県イチジクのブランド力を強化するため、2013年に農総試において、これまでにない形質を持つ独自品種の開発に着手しました。
2013年から2020年までに交配で得られた1602系統の内、528系統が雌株(※4)で、その中から果実重が50g以上かつ着果性に優れた5系統を選抜しました。この中から、農総試での果実品質等の調査を経て、果実品質に優れた本品種を選抜し、2022年度から生産者ほ場において現地適応性試験を実施し、2025年3月に開発を完了しました。
※4 イチジクは果実の内側に花が着きますが、雌花しか着かない株(雌株)と、雄花と雌花の両方が着く株があり、食用に向く果実は雌株から穫れる果実です。そのため、品種開発では、早期に雌株を選抜する必要があります。
3 今後の予定
愛知県内のイチジク生産者に苗木供給し、2030年頃から本格的に出荷が始まる予定です。
4 関連説明
本県のイチジク生産は、栽培面積107ha(2022年、全国シェア13.2%、出展:農林水産省 特産果樹生産動態等調査)、産出額13億円(2023年、全国シェア18.8%、出展:農林水産省 生産農業所得統計)で全国1位です。
順位 | 県 | 栽培面積 | 全国シェア |
---|---|---|---|
1位 | 愛知県 | 107.2ha | 13.2% |
2位 | 和歌山県 | 85.2ha | 10.5% |
3位 | 福岡県 | 67.5ha | 8.3% |
全国 | 812ha |
(出展:農林水産省 特産果樹生産動態等調査)
順位 | 府県 | 産出額 | 全国シェア |
---|---|---|---|
1位 | 愛知県 | 13億円 | 18.8% |
2位 | 和歌山県 | 12億円 | 17.4% |
3位 | 大阪府 | 9億円 | 13.0% |
全国 | 69億円 |
(出展:農林水産省 特産農業所得統計)
このページに関する問合せ先
愛知県農業水産局農政部農業経営課 愛知県農業総合試験場
農業イノベーション推進室技術調整グループ 園芸研究部落葉果樹研究室
担当:中村、大野 担当:堀川、坂野
電話:052-954-9410 電話:0561-41-8968
内線:3667,3666 メール:nososi@pref.aichi.lg.jp
メール:nogyo-innovation@pref.aichi.lg.jp