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【知事会見】イノベーション創出事業(革新事業創造戦略・モビリティ・スポーツ)の 取組の成果及び今年度の取組について
愛知県では、民間提案を起点として、社会課題の解決と地域の活性化を目指す官民連携プロジェクトの創出を図るため、2022年12月に「革新事業創造戦略」を策定しました。そして、本戦略と2018年10月に策定した「Aichi-Startup(アイチ スタートアップ)戦略」の二つの戦略を両輪として愛知発のイノベーションを創出し、世界に輝くグローバルイノベーション都市への飛躍を目指しています。
この度、イノベーション創出に向けた取組のうち、「革新事業創造戦略」、「あいちモビリティイノベーションプロジェクト」及び「あいちスポーツイノベーションプロジェクト」の3事業に係る2023年度の成果と今年度の取組について、お知らせします。
<イノベーション創出に向けた取組一覧>
事業名 |
目的 |
民間提案を起点として、社会課題の解決と地域の活性化を図る官民連携プロジェクトの創出を目指す。 |
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ドローンや空飛ぶクルマ等の「空」モビリティの社会実装の早期化や、自動運転車両との同時制御の運行など、人やモノの移動に境界がなくなる愛知発の新しいモビリティ社会の構築を目指す。 |
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産学官等の連携により、スポーツ分野のイノベーションを推進し、革新的な事業・新サービスの創出や県内外への展開に取り組むことで、スポーツの成長産業化及びスポーツを通じた地域活性化を目指す。 |
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あいちデジタルヘルスプロジェクト |
デジタル技術を活用し、産学官金の連携により、「健康寿命の延伸」と「生活の質の維持・向上」に貢献する各種サービス・ソリューションの創出・提供を目指す。 |
あいち農業イノベーションプロジェクト |
愛知県農業総合試験場や大学が有する技術、フィールド、ノウハウとスタートアップ等の新しいアイディアや技術を活用した共同研究体制の強化を図り、新しい農業イノベーション創出を目指す。 |
あいち環境イノベーションプロジェクト |
カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミー、ネイチャーポジティブといった環境分野の課題解決に向けて、革新的な技術・アイディアを有するスタートアップ等と連携し、愛知発環境イノベーションの創出・実装を目指す。 |
※太枠部分は今回記者発表項目
革新事業創造戦略
背景
愛知県は、スタートアップをイノベーション創出の起爆剤として位置付け、2018年10月に策定した「Aichi-Startup戦略」に基づき、中核支援拠点となるSTATION Aiの整備や幅広い支援プログラムの展開によるスタートアップの創出・育成・展開・誘致を強力に進めてきました。
こうした取組を更に発展・強化させ、愛知発のイノベーションを絶え間なく創出していくための新たな仕組みとして、2022年12月に「革新事業創造戦略」を策定し、「革新事業創造提案プラットフォーム(愛称:A-IDEA(アイディア))」を構築しました。
そして、同戦略が目指す、社会課題の解決と地域の活性化を図るための官民連携プロジェクトとして、現在、「モビリティ」、「スポーツ」、「デジタルヘルス」、「農業」及び「環境」の5つのイノベーションプロジェクトを推進しています。同戦略と本年10月にオープンするSTATION Aiを核として推進する「Aichi-Startup戦略」を両輪として、この地域のイノベーション・エコシステムを形成し、グローバルイノベーション都市への飛躍を目指します。
「革新事業創造戦略」による官民連携プロジェクト創出の枠組み
イノベーションプロジェクトとSTATION Aiの連携(イメージ)
2023年度の主な取組
月 |
取組内容 |
5月 |
・あいちモビリティイノベーションプロジェクト立ち上げ |
7月 |
・革新事業創造事業費補助金採択(9者) |
8月 |
・「A-IDEA TRIGGER(アイディア トリガー) vol.1」開催 |
11月 |
・「A-IDEA TRIGGER vol.2」開催 |
12月 |
・あいちスポーツイノベーションプロジェクトを採択 ・革新事業創造提案プラットフォーム(愛称:A-IDEA) Webページの一新 |
3月 |
・「A-IDEA TRIGGER vol.3」開催 ・2024年度の革新事業創造事業費補助金募集開始 |
2023年度の具体的な成果事例及び2024年度の取組
革新事業創造提案プラットフォームの運用
「革新事業創造提案プラットフォーム(愛称:A-IDEA)」を運用し、産学官金の多様な主体から革新的プロジェクトのアイディアの提案や技術・研究シーズの登録をWeb上で受け付け、民間主導でのオープンイノベーションの促進や民間提案を起点とした官民連携プロジェクトの創出を図っています。
また、Webページのデザインも一新し、プラットフォームとしてより使いやすくするためにデザインや構成・機能の改良を行いました。
2024年度は引き続きプラットフォームを運用し、内容のブラッシュアップ等を検討しながら自律的なオープンイノベーションの促進を目指します。
<2023年度末時点のプラットフォームの利用状況>
会員数 :464者
アイディア数 :74件
技術・研究シーズ数 :252件
支援施策数 :197件
提供リソース・イベント:19件
革新事業創造事業費補助金の創設
「革新事業創造提案プラットフォーム(愛称:A-IDEA)」で受け付けた提案のうち、民間主導で行われるプロジェクトの具体化を強力に後押しするため、2023年度から「革新事業創造事業費補助金制度」を新たに開始し、優れた提案として選定された9者、事業費にして総額47,158千円を採択しました。
【革新事業として採択した事業(2023年度)】
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提案者名 |
プロジェクト概要 |
1 |
グランドグリーン株式会社 (名古屋市千種区) |
認知症予防等に効果のある栄養素を多く含む高機能性作物の開発・生産・販売 |
2 |
KUROFUNE(クロフネ)株式会社 (名古屋市西区) |
在日外国人労働者がスマホアプリで利用できるオンライン医療通訳サービスの開発 |
3 |
株式会社SUPWAT(スプワット) (東京都中央区) |
製造業の課題解決・効率化を実現するデータ分析・モデリング技術の活用及び生産条件最適化プラットフォームの提供 |
4 |
大豊工業(たいほう)株式会社 (豊田市) |
高性能膜を組み合わせた独自技術によるメッキ加工処理水の低コスト・低エネルギーな循環システムの構築 |
5 |
Hubbit(ハビット)株式会社 (東京都品川区) |
軽度認知症者向けコミュニケーション自動化アプリの提供 |
6 |
株式会社氷感(ひょうかん)サプライズ (知多市) |
超急速冷凍システム活用の蓄冷材及びIoT温度管理システムを搭載した低温物流向け梱包資材の開発による冷蔵・冷凍トラックを用いない低温物流システムの構築 |
7 |
株式会社ヘルスケアシステムズ (名古屋市昭和区) |
郵送での糖尿病検査実施及び検査データの機械学習システムによる予防行動パーソナライズサービスの提供 |
8 |
株式会社箕浦(みのうら) (岐阜県安八郡神戸町) |
農業分野における温室効果ガス削減・カーボンクレジット創出を実現する稲わら由来のバイオメタン生成技術の開発 |
9 |
株式会社ミライ菜園 (名古屋市中村区) |
気象データ・病害虫発生履歴から病害虫の発生タイミングをリアルタイムで推定する病害虫予報AIアプリの開発 |
2024年度においても、引き続き革新事業創造事業費補助金により、民間主導で進めるべきプロジェクトの実現を支援します。
イベントの開催
「革新事業創造提案プラットフォーム」の活性化(会員数の増加、アイディア及び技術・研究シーズの登録数の増加、会員間の交流やオープンイノベーションの促進)につながるイベント(A-IDEA TRIGGER)を開催しました。
2024年度においても、引き続きA-IDEA TRIGGERなどのイベントを定期的に開催し、プラットフォームの更なる周知と活性化を目指します。
【2023年度「A-IDEA TRIGGER」概要】
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日時 |
概要 |
参加者数 |
Vol.1 |
2023年 |
スタートアップや大企業の新規事業担当者を対象に、革新事業に対する理解浸透を図る。 |
現地:50名 オンライン:27名 |
Vol.2 |
2023年 |
県内の中小企業(製造業)を対象に、オープンイノベーションに関する機運を醸成。 |
現地:106名 オンライン:62名 |
Vol.3 |
2024年 |
スタートアップや大企業の新規事業担当者を対象に、次年度補助金案件の掘り起こし。 |
現地:36名 オンライン:130名 |
<A-IDEA TRRIGER Vol.1の様子(2023年8月30日)>
あいちモビリティイノベーションプロジェクト
背景
2023年5月、「革新事業創造戦略」に基づく第1号の官民共同プロジェクトとして、株式会社プロドローン(名古屋市天白区)の提案「空と道がつながる愛知モデル2030」の具体化に向け、モビリティ関連企業6社と連携協定を締結するとともに、推進体制となるプロジェクトチームを設置して、プロジェクトを立ち上げました。
<プロジェクトチームの構成員>
株式会社プロドローン |
提案者、プロジェクト全体のマネジメント |
株式会社ジェイテクト |
ドローンの制御に関する技術提供、開発協力 等 |
名古屋鉄道株式会社 |
安全管理、ビジネスモデル設計、実証とりまとめ |
株式会社SkyDrive (スカイドライブ) |
空飛ぶクルマの機体開発、フライト業務 等 |
株式会社テラ・ラボ |
防災ドローンの機体開発、フライト業務 等 |
VFR(ブイエフアール)株式会社 |
ドローン製造の拠点整備に関する業務 等 |
<空と道がつながる新しいモビリティ社会のイメージ>
2023年度の取組の成果
「空」モビリティの社会受容性の向上に向けた普及啓発活動
ドローンや空飛ぶクルマ等の次世代空モビリティの社会受容性向上のために、イベントに出展しました。
【出展概要】
・JAPAN MOBILITY SHOW 2023への出展(10/26~11/5)
出展社数:475企業・団体
来場者数:111万人
<展示物>
株式会社プロドローン 物流用高ペイロード※ドローン
株式会社テラ・ラボ 長距離無人航空機
株式会社SkyDrive 空飛ぶクルマ
※航空機等の運搬能力(重量)のこと
<JAPAN MOBILITY SHOW 2023の様子>
・あいちITSワールド2023への出展(11/23~26)(名古屋モビリティショー同時開催)
来場者数:16万人
<展示物>
株式会社プロドローン 物流用高ペイロードドローン
・SMART MANUFACTURING SUMMIT BY GLOBAL INDUSTRIEへの出展(3/13~3/15)
来場者数:1万人
<展示物>
株式会社プロドローン 物流用高ペイロードドローン
株式会社社SkyDrive 空飛ぶクルマ1/5スケールモデル
株式会社ジェイテクト リチウムイオンキャパシタ
VFR株式会社 国産産業用ドローン、バーチャルトレーナー
ドローンに関する事業化調査
ドローンの社会実装に向け、具体のユースケースを想定した事業化調査を実施しました。
テーマ |
実証の趣旨 |
実施場所/時期 |
医療コンテナへの医療物資の往復輸送 |
高付加価値品(医療物資)におけるドローン輸送の安全性や品質保持の適正性、往復利用による運用効率化を検証 |
豊田市 2023年11月 |
河川上空の航路でのドローンの多目的利用 |
河川上空の航路を利用したドローンの多目的利用(買物支援輸送及び河川周辺の点検巡視)の検証 |
豊川市・新城市 2024年1月 |
災害時のデジタルマップの情報共有及び平時のデジタルマップの活用 |
空撮したデジタルマップの災害時の情報共有及び平時における活用方策の検証 |
名古屋市・春日井市 2024年2月 |
「推進プラン」の策定
本プロジェクトにおいて、2030年度頃に目指す姿を想定し、その実現に向けた取組の柱やロードマップをとりまとめた「推進プラン」を2024年2月に策定しました。「推進プラン」は、「需要の創出」と「供給力の強化」の2つを取組の柱に掲げ、相互の好循環を図る点に特徴があります。
「需要の創出」に向けては、「物流」「人流」「災害対応」の3分野において、2026年度頃を目途に、早期の社会実装を目指す「ローンチモデル」の実現に取り組みます。
「供給力の強化」に向けては、「令和の殖産興業」として、次世代モビリティの基幹産業化を図っていきます。
<プロジェクトの目指す姿>
<「物流」「人流」「災害対応」の各分野におけるローンチモデル>
2024年度の取組
プロジェクトの目指す姿の実現に向けて、「推進プラン」に基づき、以下の取組を進めます。
ローンチモデルの実現に向けた取組
物流ドローンの社会実装に向けた実現可能性調査及び運営事業者の参入支援
物流ドローンを活用し、社会実装初期段階のユースケースとして河川流域等を航路とした実際のユーザーに向け物流サービスを提供します。
また、ドローン物流の運営事業に参入しようする事業者の参考となる事例集を作成します。
空飛ぶクルマ遊覧飛行に向けた事業適地の調査等の実施
空飛ぶクルマの遊覧飛行の事業化に向けた適地調査を実施します。
大規模災害発生直後及び平時のビジネスにおけるドローン活用可能性の検討
大規模災害発生時において空モビリティを活用するためのスキームやオペレーションについて調査するとともに、空モビリティにより空撮したデータを基に作成する三次元マップの災害時の利活用方法及び平時のビジネスモデルを検討します。
次世代空モビリティの基幹産業化に向けた調査
ドローンや空飛ぶクルマの機体開発や量産化に向けた課題の洗い出し、自動車や航空宇宙といった既存産業からの技術転用の検証等を実施するなど、次世代空モビリティのサプライチェーン構築のための基礎調査を実施します。
次世代空モビリティの社会受容性向上に向けた普及啓発
展示会に出展することで、国内外のモビリティ関係者やメディア関係者、一般来場者に向けた普及啓発を実施するとともに、県内各地で開催されるイベント等に参加し、次世代空モビリティの社会受容性向上を図ります。
あいちスポーツイノベーションプロジェクト
背景
2023年12月に、「革新事業創造戦略」に基づく第2号の官民共同プロジェクトとして、株式会社中日新聞社(名古屋市中区)の提案を採択し、あいちスポーツイノベーションプロジェクトに取り組んでいます。
2024年6月には、プロジェクトの推進母体として、プロスポーツチームを始め、競技団体、経済団体、企業、大学、行政機関等の参画を得て「あいちスポーツイノベーションコンソーシアムAiSIA(アイシア)」を設立しました。
STATION Aiのオープン、IGアリーナ(愛知県新体育館)の開業、アジア・アジアパラ競技大会を始めとする国際スポーツ大会の開催などを起爆剤として、産学官等の連携により、スポーツ分野のイノベーションを推進し、革新的な事業・新サービスの創出や県内外への展開に取り組むことで、スポーツの成長産業化及びスポーツを通じた地域活性化を目指します。
<あいちスポーツイノベーションコンソーシアムAiSIAの概要>
設立日 |
2024年6月11日 |
体 制 |
会 長:愛知県知事 副会長:株式会社中日新聞社取締役メディアビジネス担当 名古屋商工会議所常務理事・事務局長 公益財団法人愛知県スポーツ協会理事長 |
事務局 |
愛知県(代表事務局)、株式会社中日新聞社 |
参画者 |
プロスポーツチームを始め、競技団体、経済団体、企業、大学、 行政機関等 |
<AiSIAロゴマーク>
<あいちスポーツイノベーションコンソーシアムAiSIA設立総会(2024年6月11日)>
2024年度の取組
コンソーシアムでは、メンバー相互間で連携しながら、愛知のスポーツから新たなイノベーションを巻き起こしていくため、「スポーツ産業をささえる人材の育成」、「アスリート・スポーツチームの価値向上」、「スポーツと他産業の融合」の3つの柱を推進します。2024年度は、これら3つの柱に沿って以下の取組を推進します。
柱1 スポーツ産業をささえる人材の育成
・スポーツビジネス講座の開催
大学生等を対象にスポーツビジネスに関する連続講座を開催し、スポーツ産業をささえる人材の育成を目指します。
柱2 アスリート・スポーツチームの価値向上
・スポーツチーム等との連携共創事業
スポーツチーム共通の課題である「集客力向上」に関する事業・サービス等の提案を公募し、社会実装に向けて試合会場等での実証支援を行います。
柱3 スポーツと他産業の融合
・スポーツテックコンテンツを活用した県民が幅広くスポーツにふれる機会の創出
商業施設等にAIを活用して体力チェックや向いているスポーツの診断が受けられるスポットを設け、普段スポーツに関心が無い方にも気軽に体験していただくことで、スポーツの裾野を広げる実証実験を実施します。
・スポーツチームと他産業の共創による地域課題解決型共創モデル事業
スポーツと他産業の共創により、地域課題の解決を目指す取組を県がモデル事業として採択し、実証支援等を行います。
このページに関する問合せ先
愛知県経済産業局革新事業創造部イノベーション企画課戦略企画・運用グループ
名古屋市中区三の丸三丁目1番2号 本庁舎地下1階
電話:052-954-7423 メール:innovation@pref.aichi.lg.jp