第1 公共用水域水質調査結果

 調査期間
 平成15年4月から平成16年3月まで
 
 調査機関
 愛知県、国土交通省、名古屋市、豊橋市、岡崎市、一宮市、春日井市、豊田市、名古屋港管理組合
 
 調査地点数
区分
河川 湖沼 海域
健康項目
92 25 119
生活環境項目
106 39 147
(注)健康項目の調査地点は、すべて生活環境項目の調査地点に含まれる。
 
 調査結果

(1

)健康項目
 人の健康の保護に関する環境基準が定められているカドミウム、鉛等「健康項目」26項目について、119地点で延べ8,317検体の調査を実施した。
 その結果、名古屋市内水域の荒子川で1,2−ジクロロエタンが環境基準を達成しなかったほかは、118地点ですべての調査項目について環境基準を達成した。
水域区分 水域名 調査地点 項目 年間平均値 環境基準値
名古屋市内水域 荒子川 荒子川ポンプ所 1,2−ジクロロエタン 0.0065r/l 0.004r/l以下

 

(2

)生活環境項目 

 環境基準の達成率及び適合率

(ア

)河川

 有機汚濁の代表的指標であるBOD(生物化学的酸素要求量)でみると、環境基準の類型指定がされている38河川49水域では、前年度と比較して名古屋市内水域の天白川、矢作川水域の乙川下流、豊川等水域の梅田川、汐川の4水域で新たに環境基準を達成し、境川等水域の高浜川、新川の2水域で環境基準を達成しなかった。この結果、29河川39水域で環境基準を達成した(達成率80%)。
 豊川等水域の梅田川及び汐川は、類型指定以来、初めて環境基準を達成した。
 この状況を河川別にみると、県内の4大河川である木曽川、庄内川、矢作川及び豊川では環境基準を達成したが、境川など都市及びその周辺を流れる中小河川では達成していない水域もみられた。
 河川49水域の適合率は88%であった。
 
河川におけるBODの達成率及び適合率の経年変化(単位%)
年 度 48 58 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15
達成率 29 48 55 59 57 64 61 59 64 65 79 77 73 80 69 76 80
適合率 55 75 76 78 78 81 80 74 79 81 86 85 85 87 81 86 88
(注)1  達成率=(達成水域数)/(総水域数)×100
 適合率=(環境基準に適合した日数)/(総測定日数)×100
 達成水域: 同一水域内のすべての環境基準地点において、BOD(COD)に関する75%水質値が環境基準値に適合している水域をいう。
 75%水質値: 年間n個の日間平均値を小さいものから並べたとき、0.75×n番目の数値を示す。
 

(イ

)湖沼
 有機汚濁の代表的指標であるCOD(化学的酸素要求量)でみると、環境基準の類型指定がされている油ケ淵(安城市・碧南市)では、環境基準を達成しなかった。
 

(ウ

)海域
a  有機汚濁の代表的指標であるCOD(化学的酸素要求量)でみると、環境基準の類型指定がされている伊勢湾11水域では、6水域で環境基準を達成した(達成率55%)。
 伊勢湾11水域の適合率は65%であった。
海域におけるCODの達成率及び適合率の経年変化(単位%)
年 度 48 58 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15
達成率 64 45 55 64 55 55 55 55 64 55 45 45 55 50 60 55 55
適合率 81 65 82 83 78 75 68 61 67 61 56 60 60 54 60 66 65
b   富栄養化の代表的指標である全窒素及び全燐でみると、環境基準の類型指定がされている伊勢湾6水域では、全窒素は、前年度と比較して、三河湾(ハ)で環境基準を達成したが、伊勢湾(ニ)では達成しなかった。全燐は、前年度と比較して、三河湾(ロ)で環境基準を達成したが、伊勢湾(ハ)では達成しなかった。
 この結果、全窒素については、5水域で環境基準を達成し(達成率83%)、全燐については、3水域で環境基準を達成した(達成率50%)。
 伊勢湾6水域の全窒素の適合率は65%、全燐の適合率は56%であった。
海域における全窒素及び全燐の達成率及び適合率の経年変化(単位%)
年度 10 11 12 13 14 15
達成率 全窒素 67 67 50 67 67 67 83 83
全燐 33 17 33 33 50 67 50 50
適合率 全窒素 57 44 41 57 50 50 61 65
全燐 38 39 43 41 45 51 48 56
 

 水域別環境基準の達成状況
 環境基準の達成状況を水域別にみると次のとおりである。
 

(ア

)河川(BOD)

a

 木曽川水域
 いずれの水域においても環境基準を達成した。
 

b

 庄内川等水域
 日光川、新川下流、五条川下流、庄内川中流、庄内川下流及び矢田川下流では環境基準を達成したが、矢田川上流では達成しなかった。
 

c

 名古屋市内水域
 いずれの水域においても環境基準を達成した。
 

d

 境川等水域
 逢妻川上流、逢妻川下流及び阿久比川では環境基準を達成したが、境川上流、境川下流及び猿渡川では達成しなかった。油ケ淵周辺の水域において、朝鮮川では環境基準を達成したが、稗田川、高浜川、新川、長田川、半場川では達成しなかった。
 

e

 矢作川水域
 矢作川では、いずれの水域においても環境基準を達成した。支派川のうち巴川、乙川上流、乙川下流、矢作古川、介木川、男川、雨山川及び乙女川下流並びに木瀬川及び犬伏川下流では環境基準を達成したが、鹿乗川では達成しなかった。
 

f

 豊川等水域
 梅田川及び汐川が環境基準類型指定以来、初めて環境基準を達成したことから、すべての水域で環境基準を達成した。
 

g

 天竜川水域
 大千瀬川では環境基準を達成した。

(イ

)湖沼(COD)
 油ケ淵では、環境基準を達成しなかった。
 

(ウ

)海域(COD)

a

 伊勢湾水域
 名古屋港(甲)及び名古屋港(乙)では環境基準を達成したが、常滑地先海域及び沖合部の伊勢湾では達成しなかった。
 

b

 衣浦湾水域
 衣浦港及び衣浦港南部では環境基準を達成したが、沖合部の衣浦湾では達成しなかった。
 

c

 渥美湾水域
 蒲郡地先海域及び神野・田原地先海域では環境基準を達成したが、渥美湾(甲)及び渥美湾(乙)では達成しなかった。
 

(エ

)海域(全窒素)

a

 伊勢湾
 伊勢湾(イ)及び伊勢湾(ハ)では環境基準を達成したが、伊勢湾(ニ)では達成しなかった。
 

b

 三河湾
 いずれの水域においても環境基準を達成した。
 

(オ

)海域(全燐)

a

 伊勢湾
 伊勢湾(イ)では環境基準を達成したが、伊勢湾(ハ)及び伊勢湾(ニ)では達成しなかった。
 

b

 三河湾
 三河湾(イ)及び三河湾(ロ)では環境基準を達成したが、三河湾(ハ)では達成しなかった。
 
 環境基準の達成状況(PDFファイル 20KB)
 環境基準の適合状況(BOD、COD)(PDFファイル 96KB)
 環境基準の適合状況(全窒素、全燐)(PDFファイル 53KB)
 
 

第2 地下水の水質調査結果
 

 調査期間
 平成15年4月から平成16年3月まで
 
 調査機関
 愛知県、国土交通省、名古屋市、豊橋市、岡崎市、一宮市、春日井市、豊田市
 
 調査目的

(1

)概況調査(メッシュ調査):県内を5km四方(三河山間部は10km四方)のメッシュに区分し、県全域の地下水質の概況を複数年で把握するための調査。
 

(2

)概況調査(定点調査):県内の同一地点における地下水質の経年的変化を把握する調査。
 

(3

)汚染井戸周辺地区調査:概況調査(メッシュ調査)において環境基準を超過した地点における汚染範囲の確認等の調査。
 

(4

)定期モニタリング調査:過去において環境基準を超過した地点の継続的な監視調査。
 
 調査地点数
地域 概況調査
(メッシュ調査)
概況調査
(定点調査)
汚染井戸周辺地区調査 定期モニタリング調査
尾張 56 11 24
西三河 38
東三河 19

113 21 41
 
 調査結果の概要

(1

)概況調査(メッシュ調査)
 環境基準が定められているカドミウム、鉛等26項目について113地点で実施した。その結果、105地点においてすべての調査項目で環境基準を達成したが、8地点において環境基準を超過した調査項目があり、調査地点に対する環境基準の超過率(環境基準を超過した測定地点の割合)は7.1%であった。
 環境基準を超過した調査項目は砒素、テトラクロロエチレン、硝酸性窒素及び  亜硝酸性窒素、ふっ素、ほう素の5項目であり、超過率はそれぞれ、1.8%、0.9%、3.5%、0.9%、0.9%であった。その他の21項目については、すべての地点で環境基準を達成した。
 環境基準を超過した地点における調査結果は、次表のとおりである
 
環境基準を超過した地点における調査結果
 
  調査地点 項   目 検出値(mg/l) 環境基準値(mg/l)
津島市橘町 砒素 0.019 0.01以下
ふっ素 0.94 0.8以下
稲沢市稲沢町 砒素 0.017 0.01以下
岡崎市康生通西 テトラクロロエチレン 0.038 0.01以下
岡崎市板田町 硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素 11 10以下
岡崎市美合町 硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素 13 10以下
新城市上平井 硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素 24 10以下
田原市高松町 硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素 16 10以下
一色町大字細川 ほう素 1.5 1以下
 

(2

)概況調査(定点調査)
 環境基準で定められている26項目について、21地点で実施した。その結果、19地点はすべての調査項目で環境基準を達成したが、2地点において砒素が環境基準を超過した。
 環境基準を超過した地点における調査結果
 
  調査地点 項   目 検出値(mg/l) 環境基準値(mg/l)
平和町法立 砒素 0.026 0.01以下
豊田市元宮町 砒素 0.017 0.01以下

(3

)汚染井戸周辺地区調査

 概況調査で環境基準を超過した10地点のうち、尾張地域の地層・地質に由来することが判明している調査項目である砒素を除いた8地点を対象として、周辺の概ね500mの範囲内にある井戸計48本(発端井戸6本、周辺井戸42本)について、汚染範囲を確認等するために環境基準を超過した項目等を調査した。
 調査井戸のうち、発端井戸を除き周辺井戸で環境基準を超過したのは、津島市橘町のふっ素が1本、岡崎市板田町の硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素が1本、岡崎市美合町の硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素が2本、新城市上平井の硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素が2本、田原市高松町の硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素が1本、一色町大字細川のほう素が2本であった。
 豊田市元宮町の砒素、岡崎市康生通西の有機塩素系化合物は、周辺で環境基準を超える井戸はなく、局所的な汚染と推定された。
 津島市橘町のふっ素は、周辺にふっ素を使用している事業場等がなく、地層・地質に由来するものと推定された。
 新城市上平井の硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素は、農用の施肥が主な原因と推定された。
 一色町大字細川のほう素は、海水の影響によるものと推定された。
 なお、豊田市元宮町の砒素、岡崎市康生通西の有機塩素系化合物、岡崎市板田町及び同市美合町並びに田原市高松町の硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素については、原因の推定には至らなかった。 
 これら8地点は、今後、定期モニタリング調査を実施していく。

 

(4

)定期モニタリング調査
 過去の概況調査(メッシュ調査)において、環境基準を超過した41地点(発端井戸、周辺井戸あわせて66本(鉛2本、六価クロム1本、砒素10本、砒素及び有機化合物1本、総水銀5本、トリクロロエチレン等有機塩素系化合物19本、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素24本及びふっ素4本))について、モニタリングを実施した。
 その結果、環境基準を達成したのは、藤岡町大字飯野(鉛)、設楽町大字神田(砒素)、名古屋市守山区森孝東二丁目(総水銀)、名古屋市守山区瀬古東一丁目(有機塩素系化合物)、岡崎市細川町(硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素)、豊川市平尾町(硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素)、田原市赤羽根町(硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素)、常滑市原松町(ふっ素)の8地点であり、このうち検出限界以下は、藤岡町大字飯野(鉛)、設楽町大字神田(砒素)、名古屋市守山区森孝東二丁目(総水銀)の3地点であった。
 これら41地点については、今後、定期モニタリング調査を実施していく。
 
(参 考)その他地下水調査結果
 

 調査期間
 平成15年4月から平成16年3月まで
 
 調査機関
 愛知県
 
 調査目的
 地下水の汚染は、測定計画以外の地下水調査(井戸所有者による自主検査等)でも判明するため、自主報告や県民の生活環境の保全等に関する条例(以下「条例」という。)に基づく届出により調査を実施した。
 
(1
)汚染井戸周辺地区調査:井戸所有者の自主検査等で環境基準を超過した地点における汚染範囲の確認等の調査。
 
(2
)モニタリング調査:過去において測定計画外の調査で環境基準を超過した地点の継続的な監視。
 
 調査地点数
地域 汚染井戸周辺地区調査 モニタリング調査
尾張
25
西三河
22
東三河
51
 
 調査結果

(1

 )汚染井戸周辺地区調査
 井戸所有者の自主報告や条例の届出により4地点の地下水汚染が判明した。
 
  地点名 報告(届出)年月日 項   目 検出値(mg/l) 環境基準値(mg/l)
西春町大字徳重(大橋鉄工梶j H15.3.17 シス-1,2-ジクロロエチレン 1.56 0.04以下
トリクロロエチレン 1.45 0.03以下
小牧市大字横内(小牧市水道事業) H15.12.18 ほう素 5.08 1以下
碧南市平山町(中庸スプリング梶j H16.1.19 1,1−ジクロロエチレン 0.1 0.02以下
シス-1,2-ジクロロエチレン 0.14 0.04以下
トリクロロエチレン 0.35 0.03以下
テトラクロロエチレン 0.22 0.01以下
西枇杷島町旭町(三菱重工業蒲笏M事業本部) H16.3.4 ジクロロメタン 0.0201 0.02以下
1,1−ジクロロエチレン 0.33 0.02以下
シス-1,2-ジクロロエチレン 138 0.04以下
トリクロロエチレン 160 0.03以下
テトラクロロエチレン 8.75 0.01以下
 
 この地下水汚染が判明した4地点を対象として、周辺の概ね500mの範囲内にある井戸計35本(発端井戸1本、周辺井戸34本)について、汚染範囲を確認等するために環境基準を超過した項目等を調査した。
 このうち、周辺で環境基準を超過した井戸は、小牧市大字横内のほう素が1本、西枇杷島町よしのちょう芳野町のシス−1,2−ジクロロエチレンの1本であった。
 その他の地点では、すべて環境基準を達成しており、周辺への影響はないものと推定された。
 地下水汚染が判明した4地点のうち、小牧市大字横内のほう素は、原因の推定には至らなかったが、他の3地点は、立地する事業場においていずれも過去にトリクロロエチレン等有機塩素系化合物を使用していたことが汚染の原因と推定された。
(2 )モニタリング調査
 過去の測定計画外の調査で地下水汚染が判明した51地点(自主報告20地点、自主検査26地点、実態調査(昭和59年度から61年度に県が実施した有機塩素系化合物による地下水汚染実態調査)5地点)でモニタリングを行った。
 このうち、29地点で環境基準を達成した。
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