現在、世の中には数多くの化学物質が存在しており、その数は160万種とも言われています。その中で、工業薬品、農薬、試薬などの社会経済上有用な化学物質のうち毒性(特に刺激性、腐食性など急性毒性)の強い物質が「毒物及び劇物取締法」で毒物や劇物に指定されています。
毒物劇物は利用価値の高い反面、吸入や接触によって中毒になるなどの危険性を併せ持っており、毒物劇物による事件・事故が発生すると一般の人にも保健衛生上の危害が及ぶこともあります。
そのため、毒物劇物を取り扱う場合は、「毒物及び劇物取締法」で様々な規制がされています。
注) 法・・・毒物及び劇物取締法、令・・・同法施行令、規則・・・同法施行規則
1.申請・届出の様式について |
申請・届出の様式は、こちらからダウンロードすることができます。
※必要な手続き及び添付書類については、各県保健所又は医薬安全課にお問合せください。
過去に県保健所又は医薬安全課に提出したことがある添付書類については省略できる場合があるので、問合せの際に申し出てください。
ア 無機シアン化合物等を取り扱う電気めっき業者 イ 無機シアン化合物等を取り扱う金属熱処理業者 ウ 令別表第2の23品目を特定の量と方法により運搬する運送業者 エ 砒(ひ)素化合物等を取り扱うしろあり防除業者 |
盗難・紛失防止措置として、以下を実施しなければなりません。
漏えい、流出等防止措置として、以下を実施しなければなりません。
あらかじめ通報体制を整備し、万一事故が発生した場合には以下の措置を速やかに行わなければなりません。
表示にあたっての注意事項は以下のとおりです。毒物劇物であることを明確に知らせなければなりません。
毒物劇物をやむを得ず廃棄する場合は、毒物劇物でない物としてから廃棄しなければなりません。
具体的には、多くの毒物劇物について個々の品目ごとに「毒物及び劇物の廃棄方法に関する基準」で示されています。
また、毒物及び劇物取締法だけではなく、下水道法、水質汚濁防止法、大気汚染防止法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律などその他の法律で規定する基準にも適合していなければなりません。
毒物劇物の廃棄は、自分で処理して廃棄するか廃棄物処理業者に廃棄を委託します。
譲渡の際は、相手の身元・使用目的を確認し、相手の言動・購入量等に注意してください。
販売・授与を行う毒物劇物の容器及び被包には、次の表示がされていなければなりません。
毒物劇物営業者に販売(授与)する場合
次の事項を書面に記載し、5年間保存してください
・ 毒物劇物の名称及び数量 ・ 販売(授与)の年月日 ・ 譲受人の氏名、職業及び住所(法人にあっては、その名称及び主たる事務所の所在地) |
毒物劇物営業者以外の者に販売(授与)する場合
譲受人から、上記の事項を記載し、押印した書面(譲受書)の提出を受け、5年間保存してください
毒物劇物営業者は、毒物劇物を次の者に譲り渡してはいけません。
・ 18歳未満の者 ・ 心身障害により毒物劇物による保健衛生上の危害防止の措置を適正に行うことができない者として規則で定めるもの ・ 麻薬、大麻、あへん又は覚醒剤の中毒者 |
次の引火性、発火性又は爆発性のある劇物については、身分証明書、運転免許証の提示等により、交付を受ける者の住所・氏名を確認した後でなければ、譲り渡してはいけません。
また、確認を行ったときは、交付した劇物の名称、交付年月日、交付を受けた者の住所・氏名を帳簿に記載し、5年間保存してください。
・ 亜塩素酸ナトリウム及びこれを含有する製剤(亜塩素酸ナトリウムを30%以上含有するもの) ・ 塩素酸塩類及びこれを含有する製剤(塩素酸塩類を35%以上含有するもの) ・ ナトリウム ・ ピクリン酸 |
興奮、幻覚又は麻酔の作用を有する次のものについては、みだりに摂取し、若しくは吸入し、又はこれらの目的で所持することの情を知って販売・授与することは禁止されています。
・ トルエン ・ 酢酸エチル、トルエン又はメタノールを含有するシンナー、接着剤、塗料及び閉そく用又はシーリング用の充てん料 (ただし、これらは劇物を含有するが、「劇物」ではない) |
毒物劇物を販売(授与)するときは、譲受人に対して当該毒物劇物の性状及び取り扱いに関する情報を提供しなければなりません。
令別表第2の23品目を次のとおり運搬する場合は、事業場ごとに業務上取扱者の届出と毒物劇物取扱責任者の設置が必要となります。
・ 大型自動車(最大積載量が5,000kg以上の自動車又は被けん引車)に固定された容器(タンクローリー)を用いて毒物劇物を運送する事業 ・ 容量が1,000L(四アルキル鉛を含有する製剤を運搬する場合は 200L)以上の容器を大型自動車に積載して毒物劇物を運送する事業 |
なお、届出を要する運送業者でなくても、以下の規制・規定があります。
車両を使用して毒物劇物を運送する場合、その容器や被包について次の規定があります。
・ 容器又は被包に収納されていること ・ ふた、弁等により、容器又は被包が密閉されていること ・ 1回につき 1,000kg 以上運搬する場合には、容器又は被包の外部に、その収納した毒物劇物の名称、成分が表示されていること |
※ 四アルキル鉛を含有する製剤を運搬する場合には別に規定があります。
車両を使用して毒物劇物を運搬する場合、積載の態様について次の規定があります。
・ 容器又は被包が、落下、転倒、又は破損することがないように積載されていること ・ 積載装置を備える車両を使用して運搬する場合には、積載した容器又は被包が積載装置の長さ又は幅を超えないように積載されていること |
※ 四アルキル鉛を含有する製剤及び弗化水素(弗化水素70%以上を含有する製剤を含む)を運搬する場合には別に規定があります。
施行令別表第2の23品目を1回に車両を使用して5,000kg以上運搬する場合には、次の規定があります。
・ 標識 30cm平方の板に黒地に白文字で「毒」と表示し、車両の前後の見やすい箇所に掲げること ・ 保護具 事故の際に応急の措置を講ずるために必要な保護具を2人分以上備えること ・ 交替運転手 連続運転時間(1回が連続10分以上で、かつ、合計が30分以上の運転の中断をすることなく連続して運転する時間をいう。)が4時間を超える場合や1日あたりの運転時間が9時間を超える場合は、交替して運転する者を同乗させること ・ 書面 毒物劇物の名称、成分及びその含量、事故の際の応急措置の内容を記載した書面を携帯すること |
※ 四アルキル鉛を含有する製剤を運搬する場合には別に規定があります。
1回の運搬につき、1,000kgを超える量の毒物劇物の運搬を他に委託する場合、荷送人は運送人に対し、あらかじめ毒物劇物の名称、成分及びその含量、数量、事故の際の応急措置の内容を記載した書面を交付することが必要です。
毒物のうち特に毒性の著しいものは『特定毒物』として定められ、その製造、輸入、使用、譲渡、所持等は特定の者を除いて禁止されています。
製造 | 輸入 | 使用 | 譲渡 | 所持 | |
毒物劇物製造業者 | ○ | × | △(注1) | △(製造した特定毒物を毒物劇物営業者に譲渡する場合に限る) | ○ |
毒物劇物輸入業者 | × | ○ | × | △(輸入した特定毒物を毒物劇物営業者に譲渡する場合に限る) | ○ |
毒物劇物販売業者 | × | × | × | △(毒物劇物営業者又は特定毒物研究者、使用者に譲渡する場合に限る)(注4) | ○ |
特定毒物研究者 | ○ | ○ | △(注2) | △(毒物劇物営業者又は特定毒物研究者、使用者に譲渡する場合に限る)(注4) | ○ |
特定毒物使用者 | × | × | △(注3) | △(指定を受けた特定毒物を毒物劇物営業者又は特定毒物研究者、使用者に譲渡する場合に限る) | △(注5) |
一般の方 | × | × | × | × | × |
○:認められる △:制限つきで認められる ×:認められない
注1 毒物劇物の製造のために特定毒物を使用する場合に限る
注2 特定毒物を学術研究の用途に使用する場合に限る
注3 指定を受けた特定毒物であって、政令で定められた用途にのみ使用する場合に限る
注4 特定毒物使用者に対しては、その者が使用できる特定毒物であって、品質、着色又は表示の基準に適合するものに限る
注5 指定を受けた特定毒物を所持する場合に限る
特定毒物を学術研究のため、製造、輸入、使用しようとする者は、特定毒物研究者として知事の許可を受けなければいけません。
なお、特定毒物研究者になることができる者は次のとおりです。
特定毒物使用者とは特定毒物を使用できる者として品目ごとに政令で指定する者を言い、政令で定められた用途に限り特定毒物を使用することができます。
毒物劇物取扱責任者とは、毒物劇物営業者等が法的に置かなければならない専任の責任者であり、毒物劇物取扱責任者は次の事項を総括的に管理・監督します。
なお、毒物劇物取扱責任者の資格については、資格証や免許証等が交付されるわけではありません。
毒物劇物取扱責任者になることができる者は次のとおりです。
1 薬剤師
2 厚生労働省令で定める学校で、応用化学に関する学課を修了した者*
3 都道府県知事が行う毒物劇物取扱者試験に合格した者
* 「2 厚生労働省令で定める学校で、応用化学に関する学課を修了した者」とは、以下の(1)から(4)の基準に従い、各学校の応用化学の学課を修了した者であることを指します。
(1) 大学等 学校教育法(昭和22年法律第26号)第83条に規定する大学(同法第108条の2に規定する短期大学を含む。)又は旧大学令(大正7年勅令第388号)に基づく大学又は旧専門学校令(明治36年勅令第61号)に基づく専門学校で応用化学に関する学課を修了した者 応用化学に関する学課とは次の学部、学科です。
※ ここで化学に関する科目とは、次の分野に関する講義、実験及び演習です。 (2) 高等専門学校 (3) 専門課程を置く専修学校(専門学校) (4) 高等学校 |
なお、高等学校と同等以上の学校で、応用化学に関する学課を修了した者であって、上記(1)〜(4)のいずれにも該当しない場合については、医薬安全課までお問合せください。
毒物劇物業務上取扱者、毒物劇物営業者等向けのリーフレットを作成しましたので、業務の参考としてください。
愛知県保健医療局生活衛生部医薬安全課
毒劇物・麻薬・血液グループ
電話052-954-6305
FAX052-953-7149
E-mailiyaku@pref.aichi.lg.jp
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