PFAS対策の推進についての意見書 工業的に作られる有機フッ素化合物(PFAS)は、約1万物質あるといわれ、撥水・撥油性に優れ、熱に強い等優れた物性を示すため、半導体用反射防止剤や泡消火薬剤、調理器具の表面加工など幅広い用途に用いられている。 しかしながら、PFASの一部の物質(PFOA等)については、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約で規制対象とされ、今月1日には国際がん研究機関(IARC)がPFOAの発がん性分類を「可能性がある」から2段階引き上げ「ある」に認定するなど、その有害性が指摘されている。 PFASについては、近年、欧州連合がPFAS全体への規制を検討するなど、国際的に管理の在り方が議論され始めているが、産業界にとって重要度の高い物質群であるため、科学的知見に基づく適切な管理の在り方を慎重に検討する必要がある。 国においては、本年7月にPFASに関する今後の対応の方向性をとりまとめ、PFOA等に関する環境モニタリングの強化などに取り組むこととしているが、PFASの多くは有害性の評価や分析法の確立がされておらず、速やかにそれらを確立し、適切に対応していくことが求められている。 よって、国におかれては、健康影響への評価に必要なPFASの科学的知見を集積するとともに、PFOA等を使用した工場等における汚染状況の調査やリスク管理の手法の確立など総合的な対策を推進するよう強く要望する。 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 令和5年12月20日             殿 愛知県議会議長     石井芳樹 (提 出 先)     衆議院議長      参議院議長     内閣総理大臣     厚生労働大臣    環境大臣