ギャンブル等依存症対策の強化についての意見書 ギャンブル等依存症は、多重債務や貧困といった経済的問題に加え、虐待、自殺、犯罪などの重大な社会的問題を生じさせる懸念があることから、その対策は喫緊の課題となっている。 こうした中、国は、ギャンブル等依存症対策基本法を制定し、相談支援体制や医療提供体制の整備及びギャンブル等依存症に関する啓発活動を推進するなど、総合的なギャンブル等依存症対策を実施してきたところである。 しかしながら、相談支援体制が不十分であることや、専門的な治療を行う医療機関の不足等に加え、世間の依存症に対する正しい知識や理解の不足、誤解や偏見もあり、当事者や家族が適切に支援を受けられない現状があることから、相談支援体制や医療提供体制の整備及び正しい知識等の普及啓発などの取組をより一層推進する必要がある。 加えて、ギャンブル等依存者が児童手当の受給者である場合に、受給者を変更するための国の基準が明確ではなく、家族等からの申請に対して、市町村が柔軟に受給者の変更を行えないことから、児童手当がギャンブル等に流用される事例が発生している。 よって、国におかれては、ギャンブル等依存症対策の強化を図るため、下記事項について特段の措置を講じられるよう強く要望する。 記 1 ギャンブル等依存症に係る相談支援機関や専門医療機関の設置を促進するなど、当事者や家族が早期に相談支援や治療を受けられる環境の整備を図るとともに、依存症に関する誤解や偏見の解消に向け、正しい知識等を深めるための普及啓発を強化すること 2 児童手当受給者がギャンブル等依存症の場合には、市町村が柔軟に受給者の変更を行えるよう、国において、受給者の変更について明確な基準を定め、市町村に対し周知徹底を図ること 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 令和5年10月19日             殿 愛知県議会議長     石井芳樹 (提 出 先)     衆議院議長      参議院議長     内閣総理大臣     厚生労働大臣    こども家庭庁長官