愛知県衛生研究所

食品に残留する農薬の検査機能を強化します(2)

2009年8月6日掲載

近年、食品を取り巻く事件が相次いで発生しています。昨年も、中国製冷凍ギョーザに混入されたメタミドホスによる健康被害や、メタミドホスなどで汚染された事故米の食用への転売などが発覚しています。

当衛生研究所では、2006年(平成18年)に導入された食品衛生法によるポジティブリスト制度(すべての食品について、原則すべての農薬等の残留量を規制する方式)に対応するため、検査機能の強化を進めています。平成21年度は、ガスクロマトグラフ/タンデム質量分析計(GC/MS/MS)※1という高性能な分析機器が新たに配備されました。これにより、冷凍ギョーザをはじめとして様々な原料から作られている加工食品についても、多くの農薬等を極微量(ppb※2)レベルで精度良く一斉に分析することが可能となりました。

今後も、より優れた分析法の開発/採用を図りながら検査機能の強化を進め、違反食品の発見だけでなく、クッキングファクター(調理による残留農薬の減少度)に関する調査研究など、広く県民の皆様に食の安心に関した科学的情報を提供できるよう努力していきたいと考えています。

※1
ガスクロマトグラフ(Gas Chromatograph、GC)に、二つの質量分析計(Mass Spectrometer、MS)をタンデム(直列)に組み合わせることで、測定速度、感度及び精度を向上させた機器です。対象物質数の増加や、複雑な試料中に含まれる極微量物質を分析する必要性が高まっていることなどを受けて、最近、開発されました。
※2
1 ppb(parts per billion)とは十億分の1です。したがって、1 ppbとは食品1トン(1,000kg=1,000,000,000 mg=十億 mg)に1 mgの農薬が含まれていることを意味します。
GC/MS/MSの写真
ガスクロマトグラフ/タンデム質量分析計(GC/MS/MS)システムの全景